昨今、“働かない中高年”が批判されている。勤務中にYou Tubeを見たり他の社員に話しかけて業務を邪魔したりしている人が職場にいるという人も少なくはない。河合氏は中高年のリストラについて話すと「でも、働かないおじさんって多いから」という声が必ず出てくると話す。
しかし、「少なくとも700人以上をインタビューしている限りは、おじさん達は結構頑張ってます」と否定する。2000年以降、会社員全体の賃金が上がっていないが「20代は上がっています。ただ、30歳以上は下がっていて特に50代の下がり方が激しい」という。
2000年の55歳の月給の中央値は62万2500円だが、2018年には53万6400円で14%減だと説明する。中高年の厳しい現状を話す河合氏であるが、この数字を見て「それでも十分高いだろ!」といった声も聞こえてきそうだ。
しかし、昨年に「老後資金として2000万円が必要」と騒がれたことを鑑みれば、中高年の給与が下がっている現状は当事者だけでなく、若い世代にもゆくゆくは影響する問題であるため、全世代で考えていく必要がある。
「これからは半径3メートル以内の幸せを考えてほしい」
とは言え、河合氏は50歳以上に厳しい対応をする企業が出てくるのは仕方がないことだという。今後は「今までは社内での肩書や給料を稼ぐくことが価値観でしたが、これからは半径3メートル以内の幸せを考えてほしい」と提案。
「『半径3メートル以内の人達とどんな関わりを持つか』とか、『今まで昇進や昇給が幸せだったけど、誰かから感謝されることが喜びになった』とか、『目の前のことに没頭して学ぶっていうことに価値観を見出していく』とかですね」
従来の中高年の価値観は”仕事ありき”だったが、仕事以外で喜びを見出せる価値観を持つことの必要性を説いた。ネット上では「50歳が可哀想になってきた」と中高年に同情する人もいたが、
「みんなで貧しくなって社会主義国になろうよ。って言ってるように聞こえる」
「河合さんの仰ることはわかります。でも経済的にあまり恵まれたことがない人にとっては…」
といった声も。価値観をアップデートしても金銭的に苦しければ豊かな生活は送れない。柔軟かつ多様な価値観を持つことは大切だが、まずはデフレを脱却して全世代の給与が上げることが急務なようにも思える。