職場の新型コロナウイルス対応がきっかけで、退職を考える人は少なくない。キャリコネニュース読者からは
「会社の対応がひどかった」(広島県/20代女性/営業職)
「給与が全然上がらず『来月は6割減になるかもしれない』と言われた」(北海道/40代男性/サービス系)
といった経験談が寄せられている。(文:鹿賀大資)
「社長から”コロナ”と呼ばれるようになった」
サービス系の会社に勤める青森県の40代女性にいたっては、社長がコロナに偏見のある人。娘の進学に伴い関東まで引っ越しを手伝いに行ったあと、社長から『コロナ』と呼ばれるようになった。精神的に押しつぶされた」という。
静岡県の宿泊施設で勤務する40代女性の職場では、体質改善を目的とした各種トリートメントなどのサービスも提供している。そのため、従業員と利用客はかなり密に接することが多い。また、首都圏から訪れる客が多く、大半は公共交通機関を利用して来るという。
こうした背景を考慮した女性はある時、上司に
「お客様の安全はもとより、地域の安全や従業員の安全の確保を考え、せめて緊急事態宣言の出ている期間は受け入れを中止すべきではないか」
と進言した。しかし、上司からは
「このビジネスチャンスに何を言うのか?コロナに罹る確率は交通事故に遭うよりずっと低い。それに万が一でも遭ったのであれば、それは本人の運の問題」
と一蹴された。女性は、諦めずに同様の提言を何度もしたが「このチャンスにそのようなことを言う奴こそコロナ菌だ」と言われてしまったという。
「健康産業はただの建前で、実情は拝金主義」
ゴールデンウイーク期間中における客の受け入れについても、本社から注意事項などの具体的な指示は何もなかった。
「ゴールデンウイーク前に、万が一感染が起こった場合の対処法や労災・補償などを明確にしてくれるよう伝えましたが、結局それも叶わぬまま。最初から話の通じない相手に、これだけ時間をかけてしまったことをにわかに後悔しました」
さらに、こう続ける。
「健康産業に携わるものとして、優先すべきは人の安全、お客様の心からの笑顔、その方のためになることだと思ってやってきました。でもこの会社は、健康産業はただの建前で、実情は拝金主義。施設サービスの提供も人を見ているのではなく、その向こうにあるお金だけを見ていたのだと今さらながらに再確認できました。確かにビジネスなので、そのような考え方もあるとは思いますが……」
女性は結局、この一件で退職を決意した。なお、現在も現場スタッフは、感染リスクに神経を張り詰めながら接客にあたっているという。
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