新型コロナウイルスによる経済情勢の悪化で、会社の安定性を考えた人は多い。とはいえ、一口に安定した会社といっても、メリットとデメリットはつきものだ。企業口コミサイト「キャリコネ」には、
「安定した経営を行なっている。競合に比べて突飛な施策はないものの、バランスの取れた経営」(マーチャンダイザー/30代後半男性/正社員/年収800万円)
「ここ数年は良い意味で安定してしまい、居心地はいい会社にはなった。しかしチャレンジしたい人には、物足りなくなってしまう可能性がある」(人事/30代後半/女性/正社員/年収600万円)
といった声が寄せられている。また海外営業職の40代後半男性は、
「若手は社風に惹かれて入社するより、『安定』や『ホワイト』と言う人が結構増えている気がする」(正社員/年収1400万円)
と近年の採用状況を通じて“安定に走る傾向”にあるいう。今回は安定志向な人たちの投稿を紹介する。(文:鹿賀大資)
「民間の会社のように景気に左右されない」
「高速道路の管理会社です。民間の会社のように景気に左右されないため、給与面では安定している」(その他/20代後半/男性/正社員/年収320万円)
「辞めてから、初めてこの会社が福利厚生などの面でしっかりとしていたことがわかりました。大手企業ならではの安心感と安定感があったように思えます」(物流サービス/40代後半/男性/正社員/年収350万円)
「経営が安定し業績も年々のびているので、例えば住宅ローンを組む時に安定性が担保され審査に通りやすい」(コンサルタント/30代後半/男性/正社員/年収600万円)
給与や福利厚生といった待遇面に満足する声があがった。交通事業者などに見られる特殊会社の場合は、国策の経緯を持つところも少なくない。ある意味では、公務員と同じ安定性を感じられるのかもしれない。またローンが組めるかどうかも、安定志向な人たちにとっては欠かせない要素のようだ。
「他でカバーできる安定した体制だが、勤務時間が非常に多い部署もある」
「阪急阪神ホールディングスグループで唯一のIT会社のため、事業の安定性は安心できる。ただ、方針が親会社に倣っているせいか、テレワークや私服勤務など最近、積極的に推進されている働き方改革の取り組みへの対応はとても遅いように思える」(企画営業/30代前半/女性/正社員/年収480万円)
「中途採用であっても、最初から安定した額を受け取ることができる。しかし昇給は微々たるもので、社員のモチベーション向上を図ることは難しいと感じた」(フロアスタッフ/20代前半/男性/正社員/年収350万円)
「経営が非常に安定している。さまざまな分野に取り組んでいる企業であるため、特定の分野の業績が下がっても、他でカバーできる体制が整う。だが一部で、勤務時間が非常に多い部署もある」(研究開発/30代後半/男性/正社員/年収610万)
自身の安定志向とマッチした環境で働いていても、不満に感じている部分はあるようだ。大企業でありがちな“フットワークの重さ”だったり、給料は安定しているものの“昇給が困難”であったりという声があった。また会社全体で業績を補い合える体制にあっても、負担を強いられる部門・部署が出てしまうのは否めないようだ。
コロナ禍を機に安定志向に切り替えたい人は、今回の口コミにあった業種で絞るのも一手かもしれない。