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飲み会、残業「昭和を生き抜いた」男性ばかりが管理職でいい? ジェンダーギャップを考える

会社の役員が、長時間残業・飲み会などの”昭和の慣習”を生きぬいてきた男性ばかり

男女格差を国際比較した「ジェンダーギャップ指数」のランキングで、日本は156か国中120位と低迷しています。「女性活躍」という言葉が古びて使われない社会にしたいと思って会社を経営してきましたが、子育てや女性のキャリアの課題は、「ジェンダーギャップ」と切っても切れない問題だと、あらためて感じるようになりました。今回はこの点について、書いてみたいと思います。(文:ウーマンエンパワープロジェクト 谷平優美)

(1)女性の国会議員や管理職を増やす

ジェンダーギャップ指数が低い理由の一つが、女性の国会議員や管理職が少ないことです。男女バランスが偏っていると、意思決定にも偏りが出やすくなります。

例えば、会社の役員が、子育てを妻に任せきりにして、長時間残業・飲み会などの”昭和の慣習”を生きぬいてきた男性ばかりだと、どういうことが起きるでしょうか?

残業・飲み会体質のままで、時代の違う共働き夫婦や子育てへの配慮も足りないため、有望な中堅・若手社員がどんどん疲弊したり辞めてしまう、なんてことにもなりがちです。

もし、子育て経験のある役員が増えてくれば、「時間あたりの生産性に評価制度を変えよう」「業務改善をして会議時間も見直そう」など、違った視点が取り上げられる可能性が高まります。

女性を役員にするための体質改善には、すぐにでも取りかかる必要があります。なぜなら、育成や環境整備に中長期の時間がかかるためです。

女性の衆議院議員は10%程度しかいません。国民の半分は女性なので、その意見や感性を反映してくれる議員がもっと多い方がいいのは間違いありません。ただし、女性議員が少し増えても、結果的に派閥の上層部の意向に従うだけであれば、景色が変わりません。良い意思決定への反映がなされる仕組みの改革とセットに考える必要があります。個人レベルでできることとしては、まず子育て世代も選挙に参加することが大事ではないでしょうか。

(2)収入格差をなくす

男女の所得格差は、厚労省「賃金構造基本統計調査」をみても依然として大きく、日本はG7で最下位です。

この経済的な格差と保障の弱さが、女性の家事育児負担が減りにくい要因のひとつでしょう。

結局、男性に経済面で依存せざるをえない場合、暴力や浮気があっても「耐えるしかない」となりがちです。最近法改正動きましたが、離婚後の養育費の不払いも(「払えない」も含まれますが)多いものです。

海外ではシングルマザー・シングルファザーの保証が手厚い国もありますが、日本はまだシングルへの保障は弱いですし、親の貧困が子どもの教育格差にもつながりやすい現状があります。

家事の分担を相談したら、「自分の方が稼いでいる」と嫌な顔をされた、というママの声はよく聞きます。そこで「もっと働きたい」と思っても、家事育児の負担を減らせないと、働く時間や責任も増やせない。そんなループになっているようにも見えます。

もちろん収入に限らず、気持ちよく分担してくれる夫もいますし、20代などは仕事も家事も当たり前に分担・外注する人も増えているようで、その点には期待が持てます。

女の子が経営者や政治家を目指してもいい

(3)男性の家庭進出

妊産婦は、ホルモンバランスの変化で産後うつになりやすいなど、精神面でのサポートが重要です。産後の夫の行動で妻の愛情曲線が大きく変わる、という統計データもあります。男性も育休取得や家庭進出が必要な理由のひとつでしょう。

労働人口が減っている日本では、女性のキャリア断絶や生活の負担を減らせるかも重要です。スピードと不確実性が増し、人口構造・社会構造も変化しているいま、経済合理性の観点からもますますダイバーシティ&インクルージョンの必要性が認識されています。

以前と比べれば社会意識は変わってきましたが、家事育児の負担は、まだまだ女性に偏っています。家庭生活と愛情を持続させるためには、職場の整備とあわせて、家庭内ではしっかりと話し合って歩み寄り、お互いに納得できる分担が大事でしょう。

4)社会全体の意識改革

子どもはアニメやテレビから多くのことを学んでいます。たとえば、アニメでお母さんだけが家事をして、お父さんが手伝わないというシーンが登場したとき、「それが当たり前」だと誤解されないように、子どもたちと会話したいなと感じます。

娘が経営者・政治家を目指したって全然いいし、息子が料理や洗濯をしたいと言ってくれたら下手でも快く手伝ってもらい、生活のなかでも性別役割ではなく個人志向による選択を促す。結婚出産だって子どもたちの時代はもっとしない選択が増えているだろうし、別姓を選ぶ夫婦が増えたり、結婚しないで子どもをもつ人の割合が多くなるかもしれない。価値観が多様になっているだけに、「押し付けない」ことが大切ではないでしょうか。

これからは、大人も子どもも関係なく、個人を尊重する考え方が望まれています。違う意見を一方的に批判するのではなく、話を聞いて建設的に議論することが、次世代に良い形を残すことに繋がるのだと思います。

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【筆者プロフィール】
谷平 優美
ウーマンエンパワープロジェクト代表/株式会社ルバート代表取締役。早稲田大学商学部卒業後、総合人材サービス会社で新規事業立上げ・執行役員を経て、 株式会社リクルートエージェント(現リクルートキャリア)入社。WEB企画・マーケティング、法人営業を経て退職。出産前後には専業主婦やフリーランスも経験。サロン講師、就職講座講師やキャリアカウンセリングをしながら、無理ない子育て中の働き方を模索するも待機児童となり認証保育園を利用しながら活動。転職支援・キャリア教育に関わった経験と、出産後に感じた様々な社会への違和感に何か発信をしたいと2012年にママハピを創業。2018年、社名変更後は時短ママのジョブシェア体制で事業運営。J-WAVEやフジテレビライブニュースα、東洋経済、NewsPicksなどメディア実績多数。2児の母。

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