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内定者に「リアリティ・ショック」を起こさせない採用担当者のコツ

エドガー・シャインが命名した「リアリティ・ショック」

エドガー・シャインが命名した「リアリティ・ショック」

新社会人や新人社員の一定割合が、入社後約3ヶ月以内にやる気を失ってしまったり、組織に馴染めなくなったりすることを、昔から「5月病」と呼んでいました。新しい環境に適応できないことに起因する精神的な症状の俗称です。

典型的な症状としては、仕事に意欲を持てない理由を会社や職場のせいにしたり、体育会で活躍していた人が急に母校のコーチをやり始めるなど入社以前に自分が承認されていた場に舞い戻ってしまったりします。(人材研究所代表・曽和利光)

内定者の「過剰な期待値」をどう調整するか

いわゆる5月病について学術的な世界で似た概念を探すと、アメリカの心理学者エドガー・シャインが命名した「リアリティ・ショック」があります。つまり「理想と現実の差異に衝撃を受けること」、これが5月病の正体ではないでしょうか。

入社前の理想と現実とのギャップによって、モチベーションが低下したり、メンタルヘルスが悪化したり、ひいては早期の離職につながってしまうことが報告されています。2019年のパーソル総合研究所の調査によれば、このようなリアリティ・ショックは、社会人3年目までのおよそ8割が経験しているといいます。

リアリティ・ショックが現実と理想のギャップなのであれば、その差を埋めればよいわけです。しかし、現実、つまりそこにある仕事自体や職場の現状を変化させることは、そうそう簡単なことではありません。

となると、結局は、入社前に抱く期待、会社や仕事に対する理想を統制する期待値を調整するしかありません。

最近の少子化・人手不足時代においては、企業は採用活動では自社をできるだけ魅力的に見せようとすることが多いでしょう。企業側が考える「これから目指す理想」を、内定者は「すでにある現実」と勘違いすることもあります。内定者たちは過剰な期待値を持っている可能性があり、これを調整しなければならないというわけです。

その「キャリア観」には根っこが生えているか

内定者にリアリティ・ショックを起こさせないために、採用担当者は入社前のどこかの段階で、よいことも悪いことも含めて仕事の現実を伝えるRJP(Realistic Job Preview)を行なう必要があります。しかし、過剰な期待値を持つ内定者に、いきなり現実を突きつけて受け入れさせることは困難です。

そこで採用担当者は、まずは内定者個々人が持っているキャリア観、仕事観を再確認することが必要です。内定者は、自分のキャリア観と自社が合っていると感じて「ここに入ろう」と決心してくれたわけですが、そのキャリア観がどの程度根っこの生えたものかを確認するのです。

確認方法は簡単で、内定者の皆さんに「この会社を選んだ理由」を挙げてもらい、それについて「なぜ」と根本的な理由を発見する問いを繰り返す対話やワークを行うことです。

その人のキャリア観(すなわち自分のキャリアにおける理想)が根っこの生えているものであれば、どこかで自分のライフヒストリーにキャリア観が生まれたきっかけが見つかります。理由がわからない場合は、そのキャリア観を持っているがゆえに、何か具体的な行動をいろいろと行っているはずです。

その二つとも見つからずに「こういうキャリアだと、こういうメリットがあるから」と、ただ理屈だけ、概念論だけでしか説明ができない場合は、そのキャリア観は根っこの生えていない理想といえるかもしれません。

これを自覚してもらうことは、とても大切なことです。もしも内定者が持っている理想が「今のところ仮の理想」であることが分かれば、入社した後に出てくる現実がどのようなものであっても、受容できる可能性が高まるからです。

現実に意欲的に向き合える動機づけをする場合も

自分が持っている仮の理想を「こうでなくてはならない」と絶対的なものだと考えていると、受容できる範囲が狭まってしまい、その結果、現実とのギャップを感じてリアリティ・ショックにつながります。

しかし、考えてみれば根っこの生えていないキャリア観にそこまで縛られるのはつまらないことですし、それがローパフォマンスや早期退職につながるのは、とてももったいないことです。

そんなことになるくらいなら「今の自分のキャリア観は今後も柔軟に変わりうるものだ」「まずは自分に来たチャンスを受け止めてみることから始めよう」と考える方が、よいスタートダッシュが切れるはずです。

このように、内定者の理想がどこまで根深いものか、逆に浅いものかをきちんと自己認識してもらう地ならしをしてから、前述のRJPを行なうとよいと思います。

もしも根っこの生えた内定者の理想と入社後の現実にギャップがあるならば、会社側がそのギャップを埋める努力をしたり、ギャップが最小限になる配置の工夫をしたりする必要があるでしょう。一方、内定者の理想が根っこの生えていないものであれば、むしろ現実に意欲的に向き合える意味づけや動機づけをする必要があります。

sowa_book【筆者プロフィール】曽和利光
組織人事コンサルタント。京都大学教育学部教育心理学科卒。リクルート人事部ゼネラルマネジャーを経てライフネット生命、オープンハウスと一貫として人事畑を進み、2011年に株式会社人材研究所を設立。著書に『「ネットワーク採用」とは何か』(労務行政)、『コミュ障のための面接戦略 』 (星海社新書)、『組織論と行動科学から見た人と組織のマネジメントバイアス』(共著、ソシム)など。

■株式会社人材研究所ウェブサイト
http://jinzai-kenkyusho.co.jp/

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