部下と子どもの伸ばし方は一緒? 「〇〇しなさい」より「一緒にやろう」の方が聞き入れてもらえる
日々、経営者や管理職者と、「チームを創るためにどうすればいいのか?」「部下との効果的な関わり方とは?」といったことを話し合っているのですが、その中で、”部下との関わり方”と”子どもとの関わり方”は似ているなとよく感じます。今日は、部下や子どもの力を伸ばす効果的な関り方についてお伝えします。(文:ビジネスコーチ 駄田井 一孝)
上司は部下に伝えていることを、自分が実践しているかどうかをしっかり振返る必要がある
まず、子どもを伸ばす関わり方についてですが、指示や命令をするのではなく、本人と一緒にやる伴走型の関り方が効果的です。具体的には、
「宿題をやりなさい」ではなく、「自分(親)も仕事をするので一緒にやろう」
「家事を手伝いなさい」ではなく、「自分(親)も家事をするので一緒にやろう」
「部屋を片付けなさい」ではなく、「自分(親)も片付けるので一緒にやろう」
など。指示や命令をするより、「一緒にやろう」と声を掛けた方が、素直にやってもらえます。
「〇〇しなさい!」という指示や命令だと、「従う=やらされ感」「従わない=反発」が生まれてしまうのです。 子どもは親をよく見ています。親がしていないことを子どもにやらせることは難しいです。靴を揃えない親が子どもに注意しても、子どもに「お父さん(お母さん)、靴揃えなよ!」と突っ込みを入れられるだけです。
組織での人材育成についても全く同じことが言えます。部下に伝えていることを、自分が実践しているかどうかをしっかり振返る必要があります。
部下は上司の発言や行動をよく見ているものです。上司が「率先して挨拶をしましょう!」「締切を守りましょう!」「整理整頓をしましょう!」と指導をしていても、もしそれらをやっていなかったら? その上司は、部下からの信頼を得ることが出来るでしょうか。
子どもと親であれば、親に「やってないじゃん!」と言えることもありますが、上司と部下となると中々そうはいきません。しかし直接言えないだけで、心の中では、「まずあなたが率先してやってくださいよ。上司として見本を見せてくださいよ!」と思っています。
心の中で思っていても、直接は言えない。何度かそれを繰り返しているうちに、2人の間の信頼関係は少しずつ壊れていきます。
注意点は「自分に完璧さを求めないこと」
上司やリーダー等、人を育てる立場の人は、常に「自分は誠実に取り組んでいるだろうか?」と自分の発言や行動を振返ることが求められます。しかし一点、気をつけていただきたいことがあります。それは”完璧さを求めないこと”です。
上司やリーダーとしてふさわしい行動を取り続けていかないと、となると「私は全く出来ていない」「上司としての器ではない」と自分を苦しめることにもなりかねません。完璧であらねば、と自分にプレッシャーをかけると人は、部下や子どもにも同じくプレッシャーをかけることになります。
自分の言動を振り返ることは大切ですが、完璧さを求めてほしいというわけではありません。では、どうすればいいのか?
部下の力を借りて、自分を整えます。部下に、「私の言動について気になることや、おやっ?と思うことがあれば遠慮なく伝えてください」と伝えておきます。もし、部下の方が気になることを伝えてきたときは、真摯に部下の話を聴きます。
こんな風に、部下からの力も借りて、お互いに気になっていることがあれば遠慮なく伝え合える関係性を創っておきます。そうすることで壊れない関係性を創り出すことが出来ます。
【プロフィール】
駄田井一孝(だたいいっこう) ProLeader代表/ビジネスコーチ
ビジネスコーチング実践会
https://www.1pro-leader.com/
1977年大阪府堺市生まれ。秋田県立農業短期大学卒業後、モーグルスキー選手として活動。2001年の長野国体に大阪代表選手として出場。選手引退後、豊中市消防本部に入社。消防士在職中に、対話を通して人の行動と能力を引き出すコミュニケーションスキル、コーチングと出会いトレーニングを開始。2004年にビジネスコーチとして独立し、経営者・経営幹部・個人事業主を対象に個人面談を通して目標達成のサポートを行う。個人面談の延べ人数400人以上。「この選択でよし!この自分でよし!」と日々、自分の存在に力づけられながら、望んでいることを実現していくことをサポートしている。