コロナ禍で”卒業”した港区女子が再び”港”に回帰する動き インスタフォロワー数を武器に再び活動中
そもそも「港区女子」の定義はどういったものなのか。鈴木さんによると、ざっくり「六本木、西麻布、麻布十番などで、港区おじさんのお金で買い物をしたり飲食をしたりする女性」を指す。「港区おじさん」は港区周辺に住んでおり、会社経営者や投資家が多い。
「港区女子は、港区おじさんに飲食や旅行を奢ってもらい、タクシー代1万円支給までが基本ですね。ちなみに”おじさん”というと40代50代のイメージがありますが、30代も多いですよ」
一方、港区女子の住所は「定義上どうでもいい」といい、田園都市線や東急東横線沿いの世田谷区や川崎市に住む人も多いようだ。年齢は19~21歳ほどが中心となっている。
「23歳だと港区女子としてはおばさんで、25歳だとマーケット的に弱いです。港区おじさんには『若い子と飲みたい』という需要があって、その年代の女の子が供給されていますね」
彼女たちの中にはラウンジで働く女子大生やOLもいるが、アイドル、モデル、女優など芸能関係に加え、インスタグラマーも多い。最近はスペックが”定量化”できることが重要になっているようだ。
「港区おじさんにとって総資産や住んでいるタワマンの階数がステータスとなっているように、港区女子ではSNSフォロワー数やYouTubeチャンネル登録者数、企業案件を受けているかどうかが重視されます。おじさんからすれば『そんなすごい女の子と飲んでる俺』となるわけですから」
港区おじさんからのお声がけには特徴がある。「可愛い女性を一本釣りするのではなく『2~3人連れてきて』と地引網方式。最近は『インスタのフォロワー15万人以下、YouTubeチャンネル登録者数10万人以下の子は呼ばないで』と言われることもあるようです」。
港区女子・パパ活・ギャラ飲み……何が違うの? ポイントは「予約困難店」
昨今、「港区女子」と似た言葉で「パパ活」「ギャラ飲み」などもあるが、何が違うのか。ポイントは行く店が”予約困難店”かどうかだ。例えば食べログ4.0以上で、普通に予約を取ろうとしても1年以上先になってしまう店を指す。
住所非公開で紹介制の店であることも多く、客単価は最低3~4万円。寿司、フレンチ、イタリアンなどが多いが、最近は「イノベーティブ・フュージョン」(自由な発想で生み出された無国籍料理)が人気だという。
「ようは”インスタ映え料理”です。港区女子のインスタには『#予約困難店』といったハッシュタグとともに写真が投稿されています。そんな店の予約をすぐ取れるのが港区おじさんです」
“パパ活”の場合、特定のおじさんからの金銭授受がある。そういった意味では、自分では絶対払えない価格帯の高ステータスな店に行き、おじさんのお金で飲食するのは、「事実上お金をもらっているようなもの。港区女子のやり方はパパ活っぽさを帯びています」とのこと。
一方、”ギャラ飲み”とはお金を貰うことが確約されている飲み会を指す。集まる先も予約困難店ではない店、またはタワマンでホームパーティーの場合も多い。ギャラ飲みをしている港区女子やパパ活女子はいるものの、必ずしもイコールではない。
「お店からすると政府からの給付金より港区おじさんがおろすシャンパンのほうが高い」
そんな港区女子だが、コロナ禍で港区おじさんとの飲み会の機会も激減。昨年4月に発令された緊急事態宣言では、港区界隈の飲食店含め、多くの店舗が営業自粛に応じたからだ。このため、港区女子を卒業せざるを得ない人も多かった。しかし、翌5月には緊急事態宣言が解除され、飲食店も営業再開。
「政府や都はコロナ対策を呼びかけていますが、港区のルールはそれでも動かないことがこの1年で分かりました。今も時短営業が要請されているけれど、港区周辺のお店からすると、政府からの給付金より港区おじさんがおろすシャンパンのほうが高い。だから、あの界隈だけは夜8時以降もお店を営業しています。治外法権ですよ」
利用される店の多くは会員制・紹介制だ。公式サイトやSNSもないため、営業していても炎上リスクは低い。一時は少なくなった港区女子も、現在は「ピーク時とまでは行きませんが、かなり増えてきていますね」という。
「女の子はおじさんから呼ばれたら飲みに行きます。お金がない子も多いので、小池百合子都知事よりお金持ちの言うことで動きます。昼職より割がいいですし、この傾向は今後より顕著になると思いますね」