「昔はパチスロで1日20万負けることがあったって本当?」という投稿で感じる今のパチスロの健全ぶり
今のパチスロは6号機が主流となっている。6号機というのは、基本的に低ベース(1000円あたりの遊べるゲーム数が多い)かつ、大当たりがいくら長続きしても、基本的に2400枚を達成したところで強制的に終了となる。
なので、等価換算でも一撃で4万8000円分しかメダルを手に入れることができない。そのかわりまったり遊べる。射幸性がかなり低いので、今のパチスロは打ち手にとってはあまりギャンブルの感覚がなく、はっきり言って全然面白くない機械だらけになっている。
反面、面白く感じられないということは、適切な金額の範囲で遊ぶ人が増えるということでもある。「パチスロはギャンブルではなく遊技」とする業界の建前を立証するという意味では、6号機パチスロほど最適なマシン群もないのだ。
「20万余裕で負けれるけど運が良ければその何倍も勝てるって時代」
しかし、ここに至るまでには紆余曲折があった。その昔。と言っても、20年も昔のことではない。2007年の秋までは、全国各地に4号機区分の苛烈な出玉性を誇る機種が設置されていた。
先日、我らが2ちゃんねるに、「昔のパチスロ『1日で20万負けれます』←さすがに嘘だよな」というスレッドがあった。スレ主はその4号機時代を知らない世代なんだろう。「そこまで突っ込んだら勝てないやろ」とも書き込んでいる。
たしかに20万も入れれば戻ってくる可能性は薄い。薄いんだけど、戻ってくることを信じて突っ込む人もあの頃には多かった。ひとえにこれは、4号機の出玉性能が今のパチスロよりもかなり高かったことに起因する。
スレッドにも当時の記憶が蘇るような書き込みがあった。
「初代GOD(『ミリオンゴッド』の略称)とか20万余裕やろ」
「『吉宗』って朝イチ天井6万飲んでバケからのゾーンスルーが普通だったんやろ。軽く20万負けられるやろ」
「20万余裕で負けれるけど運が良ければその何倍も勝てるって時代。そら人は死ぬし規制されるわ」
このように、往時の鉄火場みたいな雰囲気を知っている人にとっては「20万負け、十分あり得る」という意見がすんなり出る印象。実際、20万負けることは滅多にないけど、それでも20万失う人っていたもんなぁ。『ミリオンゴッド』なんて通常時のコイン持ちも悪いから、1000円が一瞬でなくなるし。
『北斗の拳』は信じられないぐらい人気の台で、当時は『北斗の拳』しか設置していない専門店もあった、なんて話も聞いたほどだ。
大負けぶっこいて借金が返せなくなる人が随分減った今のパチスロって良くない?
これは、僕が某業界4位のパチンコホールの社員だった頃、当時の副店長に聞いた話。以前『アラジンA』という機種で、普通のおばさんが運よくプレミアムフラグを引き、1日で100万円以上持ち帰るということがあったという。
また、『ミリオンゴッド』という、出玉性が高いが、借金生活者を爆増させるほどお金の吸い込みも速かった機種についても、色々と伝え聞いている。当時同僚だった野田くんという社員は、これで60万勝てたと豪語していた。
その後続機となり、幾分出玉がマイルドになった『ゴールドXR』ですら、20万円、30万円クラスの勝ちを手にするお客さんを、あの頃何度も見た。ほとんどまぐれ勝ちみたいな話なんだけど、一度でもああいう勝ち方をすると、脳は焼かれてしまって、多少の無理をしてでもお金を入れるようになるんだろう。恐ろしいことです……。
そして4号機のほとんど末期に登場した『吉宗』は僕も多少打ったことはあるけど、一撃で8万円勝ったと思ったら、その日の夜には4万円失っていた、ということがあった。「そりゃ規制されるね」と思ってしまう(笑)。
現状のパチスロ6号機は、いくら突っ込んでも一撃4万8000円で必ず当たりが終わって通常モードに戻ってしまう。そこからまた頑張って当たりを引き、しかも色々とややこしい抽選を突破して、最大4万8000円の出玉を追うというゲーム性。これでは射幸性も微塵もないので、今はもう、そこまでパチスロに没頭するユーザーは減っている。
本当に、業界の「パチスロはギャンブルでなく遊技」という名目を体現していると言ってもいい。それでも負ける人は日に10万クラスは失うみたいだけど、そんなの突っ込む人が悪い。「最大4万8000円しか出ないんだよな」と思えば、ほとんどの人はそこまでぶち込む気になんてなれないはず。
そういう意味では、「今はパチスロがつまらないけど、それはそれで幸せなことなんだよ」と6号機世代のあんちゃんたちに伝えたくなる。