ホビージャパン編集部員「転売容認ツイート」で大炎上 背景にある「転売屋」問題 | キャリコネニュース
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ホビージャパン編集部員「転売容認ツイート」で大炎上 背景にある「転売屋」問題

フリマアプリイメージ

転売は迷惑だ

『月刊ホビージャパン』は1969年12月に創刊した、日本でもっとも影響力と知名度のあるホビー誌だ。僕も80年代後半から、親におねだりして買ってもらっていた。ビリケンやボークスといった老舗ガレージキットメーカーの怪獣ガレキ作例を見るのが本当に大好きだった。

90年代に入ってからは、いわゆるガンプラやガンダム関連玩具の紹介目当てに購入するようになった。『新世紀エヴァンゲリオン』ブームのときには、大々的なエヴァ特集を組んだり、読者のニーズに答えることも多い。いわゆる模型オタク、フィギュアオタク、ガレキマニアが一番注目する雑誌だ。

そのホビージャパンが7月24日に炎上しちゃった。今日はちょっとその話をしていきたい。いちオタクの目線で。(文:松本ミゾレ)

転売屋は「頑張ってる」?

ことの発端は、ホビージャパンの編集部員がTwitterの個人アカウントで、発売直後に商品を買い占めて値段を釣り上げる「転売屋」を擁護したことだ。この編集部員は、「転売を憎んでいる人たちは、買えなかった欲しいキットが高く売られているのが面白くないだけだよね? 頑張って買えばいいのでは?」などと発言。さらに「頑張って買った人(※編注=転売屋のこと)から、マージンを払って買うのって普通」と転売屋の擁護までしていた。

つまり、転売屋の買い占め・高額転売を持ち上げ、普通に商品が買えなかった人を見下したわけだ。この発言が大勢の目に留まり、オタクの反感を買って炎上したというわけである。僕も、このツイートを見て、「なんでファンを見下して、転売屋の肩を持つんだろう」と不思議に思ったし、「そもそも常日頃から読者を馬鹿にしてるのか?」と疑いも抱いてしまった。

連休中に炎上発言の尻拭い。ホビージャパンの中の人も不憫

実際、この発言はTwitter外にもどんどん拡散され、ホビージャパンも早々に釈明に追われることになった。同社はTwitterや公式サイトに掲載した「お詫び」で、この編集部員の発言について、「ホビーに携わる人間としてあってはならない」ものだと指摘。また、社としては「ホビー商品のいかなる転売行為や買い占め行為も容認しておりません」と強調した。

本人もツイッターで「軽率な発言で多くの方を不快な思いをさせてしまい大変申し訳ありませんでした」と謝罪した。会社が素早く対応したから、最悪の事態は免れたと思うけど、せっかくの連休中、こんな発言の尻拭いをさせられたホビージャパンの人たちは不憫でならない。

でも、一番イヤな気持ちになったのは、ホビージャパンの読者だよね。「頑張って買えば?」なんて煽られたけど、ガンプラも完成品トイも、日中仕事をしている一般人には購入するチャンスがない。僕も、転売屋がはびこるようになってから、ガンプラのHGUCも仮面ライダーなどのフィギュアーツも入手を諦めた。だって馬鹿らしいじゃん。店頭に行っても、とっくに刈り取られた後だし、ネット予約解禁時間に仕事中とかだったら、出遅れてやっぱり購入出来ないし。欲しい物が普通には買えない。これが、ここ最近のホビーオタクのあるあるなのだ。今回のツイートが大炎上したのも、これが背景にある。

この状況が続くと、僕みたいに「買うのを諦める」という人が増えてくるだろう。今までコンプする勢いでガンプラやトイを購入していたオタクですら購買意欲を失っていく。ほしいものが買えない状況でファン層が広がるわけもないから、市場はどんどん痩せていく。そうなると、回りまわってメーカーも困る。『ホビージャパン』だって買う意味がなくなる。だって、手に入らないキットの作例なんか読んでもしょうがないし。こんなこと、ホビージャパンの編集の人なら、とっくにわかってると思ってたけど。

もちろん、この編集部員が主張していた通り、転売屋にマージンを払ってでも欲しい物を買う人も確かにいるだろうが、僕は嫌だね。転売屋を儲けさせたら、あいつらもっと調子に乗るでしょ? 「転売屋だけが儲かる仕組み」には参加したくない。

こういう炎上騒ぎのときって、「御社の商品はもう買いません」みたいな言葉が投げ掛けられることがよくある。中には「もともと買ってなかった」人もいそうだけど、ホビージャパンの場合はちょっと話が違う。模型オタクで、この雑誌を買わないまま育つヤツは滅多にはいないからだ。この件で怒っている人の多くはマジで読者だし、オタクって執念深くて頑固な人も多いから、本当に買わなくなる可能性がある。

そう思って、騒動の発端になったTwitterでサーチしてみたら、もう既に結構な数の人が「ホビージャパンもう買わない」ってツイートしてしまっていた。紙の雑誌がどんどん厳しくなっているこの時代、わざわざ歴史あるホビージャパンの看板に泥を塗る編集部員がいるとは……。ほんと驚きだよね。

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