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「苦痛を笑いのネタにするバラエティ」のBPO審議入り 「大げさに受け止める必要はない」と識者

ネット上に「自由なバラエティ番組が作りにくくなる?」といった憂慮の声が上がっているのは、そういう経緯をふまえたものかもしれない。

ただ、お笑い評論家のラリー遠田さんは「それが禁じられるというわけではなく、審議の対象になったというだけなので、あまり大げさに受け止める必要はないと思っています」と指摘する。確かに現時点ではまだどんな議論がされているのか明らかにはなっておらず、その方向性が見えているとも言えない状況だ。

8月27日時点で公開されている、最新のBPO青少年委員会「議事概要」(7月27日の分)では、「『ドッキリ系』『芸人が相手の苦痛を笑いのネタにする』バラエティー番組についての中高生モニターの感想」として、次のような意見が出されていた。

自分は相手にけがをさせたり、嫌な気持ちにさせてしまうドッキリは許容できないと考えています。(群馬・高校1年・男子)

人を傷つけるような内容はよくないと思います。難しいのは、傷つけるつもりではなくても、とらえかたは人それぞれなので、相手のことをよくわかったうえで考える必要があると思います。(東京・中学1年・女子)

身体的・精神的に追いつめるような行為を、いくら芸人という人を笑わせるのが仕事の人にも、してはいけないと思うし、人権を守ることはテレビが大切にしなければならないことの1つだと思う。ただ、ドッキリ番組の中でも心温まるものはいいと思う。(京都・高校1年・女子)

実生活で番組に出てくるドッキリや苦痛を笑う行為はされたくありません。TVは影響力が強いと思うので、もう少し、みんなが笑えるような番組づくりを心がけていただきたく思っています。 (長崎・中学2年・男子)

とつ然大好きな芸能人があらわれたり、1000円でとても有名な歌手が歌を歌ってくれたりと得するようなドッキリは好きですが、だれかをだましたりこわがらせたりするドッキリは大きらいです。(奈良・中学3年・女子)

視聴率を取るために過激なドッキリやバラエティー番組をしているようにも思えるが、それをすることはむしろ逆効果だと思う。(神奈川・中学2年・男子)

何気なく見ているテレビでも、「相手が苦痛に思っているものを自分たちは楽しんで見ている」そう思うと少し嫌な気分になりました。だからといってそういったリアクションを楽しむようなものが無くなるのはさみしく、やっぱり見ている側からすると面白いし、笑ってしまうので複雑な感じです。(大分・中学2年・女子)

芸人が相手の苦痛を笑いのネタにして、それを放送するのは、全く問題ない。ただ、あくまでも、これらの行為は、テレビの中の世界のみであり、実生活でそのような行為はない方がよい。(山形・高校3年・男子)

ドッキリにかけられた芸能人が本当にドッキリが苦痛で、嫌でたまらないと思っているのならば、もっと本気で怒ると思うのと、NGを出すと思う。私たちが勝手に「苦痛」だと決めつけるのは、あまり良くないと感じた。(千葉・中学2年・女子)

自分自身は昨今のバラエティー番組において苦言を呈する点はそこまでないと考えている。問題とされている相手の苦痛を笑いのネタにするという行為も需要があるからこそ供給をしているわけであり、そのネタによって気持ちが好転するということもしばしばある。(神奈川・高校2年・男子)

私が思う、バラエティーでの行為の許容範囲は、大事な私物が破損しない、その人が怪我を負わない。その2つが、許容範囲かな!と思います。ですが、これら2つをきっちり守っている番組はほとんど無いし、きっちり守ると、おもしろさが減少してしまうな。と感じました。とても難しい所です。(埼玉・中学2年・女子)

ドッキリ自体は悪くはないと思っていますが、その内容が問題点なのではと感じました。(奈良・高校2年・女子)

ラリーさんはこうした意見について、「人が苦痛を感じているように見える演出について、否定的に考えている人が多いのだと思いました」と捉える。時代、価値観の変化にともなって、バラエティ番組も変化を求められているのだろうか?

ラリーさんは「番組制作者は、時代の空気を読んで、そこに合わせて番組作りをしていくものなので、人々の価値観が変われば、それに合わせて番組の内容も自然に変わっていくのだろうと思います」と話していた。

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