上司の愛人問題の尻拭いに失敗 板挟みに苦しむ中間管理職、北条義時に感情移入できる『鎌倉殿の13人』 | キャリコネニュース
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上司の愛人問題の尻拭いに失敗 板挟みに苦しむ中間管理職、北条義時に感情移入できる『鎌倉殿の13人』

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鎌倉幕府の第二代執権となった北条義時を描くNHK大河ドラマ『鎌倉殿の13人』が人気だ。毎回のように無茶振りされて対応に追われる義時の姿に「中間管理職のようだ」といった感想が相次いでいる。(文・ふじいりょう)

名前だけ立派な会社の調整役をやるハメになった義時

時代背景を振り返ると、1156年の平治の乱で、平清盛をはじめとする桓武平氏が権力を握り、敗れた源義朝(頼朝らの父)ら河内源氏一族は没落することになる。平氏も源氏も朝廷の軍事・警備を担っていたので、無理やり例えるならばライバル警備会社同士が争い、と言ってもいいだろう。

平治の乱の後、「平家警備会社」は独占企業のようになり、スタッフが増長。上にも下にも高圧的な態度になったことは平時忠の「平家にあらずんば人にあらず」という言葉が雄弁に物語っている。『鎌倉殿』序盤に義時の兄宗時が「平家嫌い」と広言するのは、そういった平家一強に対する東国の空気を活写した演出だ。

さて、頼朝を匿うことになった北条家だが、いわば地方に林立する家族経営の零細下請け警備会社。そこに倒産寸前の名門企業「源氏警備会社」の御曹司が転がりこんできて、娘の政子と懇ろになってしまったわけだ。兄の宗時は頼朝に肩入れ、父の時政も丸め込まれてしまい、ガッツリと資本提携することになった状況。義時は言うなれば、源氏という名前だけは立派だけど寄せ集めばかりの企業の調整役を担当するハメになった、といったところだろうか。これでは胃が痛くなるのも無理はないだろう。

女子社員に手を出す社長、それに激怒する社長夫人、振り回される中間管理職

3月27日に放映された第12回『亀の前事件』は、政子が後の二代将軍、頼家を生んだ直後、頼朝が愛妾・亀と隠れ家で逢瀬を重ねていることが発覚して大騒動になるという展開だ。義時事態を収めるという超絶面倒くさい役目を押し付けられる。

隠れ家に呼ばれた義時は、亀と並ぶ頼朝から「お前もいずれ分かる。妻というものは子ができたら夫のことはそっちのけ。寂しいぞ」と言い訳をされる。しかし、頼朝浮気の噂が政子に知られるところになり大変なことに。

義時は激怒する政子に罵倒され、あまりの迫力に亀がいる隠れ家を白状してしまう。政子は時政の妻、りくから「後妻打ち(うわなりうち)」を提案される。憎き妾の家を壊して懲らしめてやれ、というのだ。これをりくの兄、牧宗親が実行することになる。

それを知った義時は、頼朝の弟の義経に隠れ家の警備を依頼するが、今作でサイコパス気味に描かれている義経は後妻打ちを阻止するどころか、宗親に加勢を頼まれると派手に家を壊してしまう。その後、激怒した頼朝が義経を謹慎させ、宗親は髻を切られる屈辱を受ける。それがこじれて、政子とりくが頼朝を難詰。さらに時政が「伊豆に帰る」と言い出してしまい、頼朝が義時に「なんとかせい!」と叫ぶ……。

義時はいわば、家族経営の企業で社長の愛人問題を何とかしようと調整して失敗したようなもので、身につまされるという人もいるのではないだろうか。ネット上でも「義時は板挟みに苦しむ中間管理職ポジション」「義時かわいそう」といった感想を抱いた人が多かった。

エピソードの終盤には、義時が有力御家人の上総広常に「さんざんだったな」と慰められるシーンがあるが、話が分かる先輩との飲み会だと見ると微笑ましい。

このように、『鎌倉殿』は仕事上の人間関係に悩む人の目線で見ると、感情移入できるシーンが多数ある。現代の職場に置き換えて考えてみるというのも面白いかもしれない。

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