パチンコ業界どうなってるの!? 新台導入しても3ヶ月で撤去、そしてまた別の機種を導入するホールの苦境
先日「そうだ、パチンコしよう」と思い立って近所のホールに出向いた。そこで最近になって導入された新台を打とうとしたら、なんと既に撤去されていた。
「早すぎるだろ」と思ってその機種のリリース日を確認すると、2月11日だった。たった2か月で撤去されてしまったというわけだ。
たしかに導入当初から釘も渋く、まともに打てる状態ではなかったが、これじゃあ1台数十万する機種台をペイした瞬間にお役御免としたという印象は拭えない。
いや、実際そうなんだろう。この2か月という記録は別に珍しいものではなく、ここ数年のパチンコホールって、導入した機種の購入費用を捻出するまで延々回収設定にして、3ヵ月程度で撤去したり、低貸しコーナーに落としたり、というのが当たり前になっている。(文:松本ミゾレ)
高いお金を出して購入した機種にファンをつける余裕もない今のパチンコホール
最新台が、よほどヒットしない限りはあっという間にホールから消えてしまうのが、今のパチンコの実態。それぞれの台は決して手抜き仕様の機種ばかりではなく、メーカーもそれなりに丹精込めて開発して送り出している。
しかしながらその価格もどんどん高くなっているし、今では1台40万円ぐらいする機種も珍しくない。ちなみに、2003年頃に僕がパチンコホールの社員として汗みずくで働いていた頃の主力機種の価格は、20万円程度だったと記憶している。
今と比べるとチープだし、軽量だし、ギミックも少ないが、そのぐらいの価格であれば、店舗側だって今よりも出玉に余裕をもたせて運用することができた。あの頃はユーザーもまだ多かったしね。
転じて現在は、もうユーザーもだいぶ減っている。コロナ禍で遊技を控えている人も多く、今では年金支給日直後であっても高齢者の来店が少ない地域もある。
これじゃあホールも、高いお金を出して機種を導入しても、その導入費用をなんとか回収するので精一杯というのが関の山だろう。そして、末端のユーザーがそういう機種を無理して打ってウン万円負ける。まさに双方共倒れのような状況だ。
パチンコ業界特有の「機歴」という慣例
ではこれ、余計な役モノばかりの新台を高い価格でリリースするメーカーが諸悪の根源なのか? と問われると、そうとも言い切れない。新台の開発費だって高騰している。業界全体で毎月たくさんの新台がリリースされるし、そんな中で生き残るためにメーカーも必死なのだ。
ただ、パチンコホールとユーザーはこの20年減少傾向にある。市場が縮小傾向にあるのに、昔と同じペースで新台をリリースして、となるとやはり無理が出てくる。
ホールもホールで、新台を導入できなくなったらおしまいという認識がある。パチンコ・パチスロに関しては以前から”機歴”と言って、特定のメーカーの人気機種を購入するためには、同じメーカーの不人気機種をあらかじめ購入しておかなくてはならないという慣例がある。
この不景気なのに、全国のほぼ全てのホールが、機歴を傷つけないために、付き合いで不人気機種も導入しているのだ。それで、さっさと導入費用を回収したらまた次の機種を入れて、となっているのである。これでどうやって玉をジャンジャンバリバリ出せると言うのだろう。
現在のパチンコホールって、炎天下で終わりのないマラソンをしているようなものだ。毎月身銭を切ると給水所にたどり着くが、残念ながら水は大抵まずい。そして「次は美味しい水かもしれない」とまたすぐ走り出しているといったような。
そうこうしてる間に参加選手も、財布の中に大枚入れて応援していた沿道のギャラリーも、ずいぶん少なくなってしまった。ホールは今この瞬間も、血反吐を吐いて走り続けている。