パチンコをやる自分がオンラインカジノにだけは手を出さない理由
岸田文雄総理は6月1日、衆院予算委員会の集中審議中に、オンラインカジノに言及し「違法なものであり、関係省庁と連携し厳正な取り締まりを行う」と語った。
岸田総理と言えば「慎重に検討」というワードを多用する印象が強い人物だが、このオンラインカジノの取り締まりに関しては、かなり強い意志を見せたことになる。
背景にあるのはもちろん、山口県阿武町のコロナ給付金誤振込問題だ。4630万円が転がり込んできた男性は既に逮捕されているが、当初は「オンラインカジノで使い切った」と発言し、これがきっかけでオンラインカジノの存在が注目を集めることとなった。
事態が事態なので、政府としても海外でサービスを提供している運営母体はどうにもできないにせよ、せめて日本からのアクセスを減らしたいという思惑はうかがえる。
最近ではオンラインカジノが公営のギャンブルでも何でもないのに、やたらとネットのバナー広告でも表示されたり、テレビCMでも流れたりしている。これは間違いなく異常な事態だろう。
実情不透明な海外のオンラインカジノに、何故大金を投じることができるのか…
僕はパチンコをたしなむ。パチンコというと基本的にユーザーは負けるもので、その負けたお金でホールが潤い、存続するという仕組みだ。そしてパチンコは、ゴリゴリのギャンブルなのに、賭博場ではなく遊技場とするアクロバティックな論理で一応成立している。
じゃあオンラインカジノはどうか。海外のサイトがいくら海外で素晴らしいライセンスを取得していても、ここは日本。しかも、いちいち勝ったたびにその金額を記憶しておいて、年度末に個別に確定申告するのも馬鹿馬鹿しい。それをやらないとまたバレたとき問題になるし、バレたときっていうか、入出金記録は残るわけだからいざとなりゃすぐバレるわけで。それなら手出ししないのがマシ。危ない橋を渡っても、どうせ胴元が最後は絶対儲かる娯楽に興じるほどの無鉄砲さは、僕にはない。
僕の周りにもオンラインカジノで痛い目を見た者が2、3人いる。把握しているのがその数名ってだけで……実はもっと多いのかもしれない。「オンカジで大損ぶっこいた」とか、他人に絶対言いたくないって人もいるだろうし。
その中の1人を仮にYさんとするけど、この人は元々色んなギャンブルに明るい人で、知識もそこそこ持ち合わせていた。パチンコも一緒にやったことがあるけど、ちゃんと釘を読んでいい台を掴んで遊んでる感じがした。恐らくだけど、パチンコ・パチスロの生涯収支はプラスだと思われる。
あるときそのYさんが「オンカジはしっかり立ち回れば勝てる」と豪語するようになったのをおぼえている。それで共通のギャンブル仲間と、必勝法をアレコレ論議しているのを横でそれとなく聞いていたんだけども、やっぱり僕は「あんなブラックボックスで勝ち続けるはずない」と思って会話には加わることはなかった。
それが本当に良かった。ほどなくしてYさんが経済的に困窮しているという話を、共通の友人から聞かされた。原因はもちろんオンラインカジノ。そこまで追いつめられたってことは、件の必勝法は通用しなかったということであり、運にも見放されて、なおかつガンガンいこうぜ状態でお金を使いまくっていたんだろう。
具体的にどのぐらいのマイナスに転じたかは怖くて聞けないが、大人がそこまでの状況に転じるってことは、余裕で3桁万。下手すると4桁万の領域に踏み込んでしまったんじゃないだろうか。
断っておくと、これを以て「だからオンカジは害悪!」と、ことさらに敵視しているわけではない。負けるべくして負ける人は何やっても負けるのがギャンブルの道理だし、そこは公営賭博と同じだ。
ただ、僕は「勝ったとしても、なんかの拍子に見せしめレベルの摘発を食らって、実名報道までされちゃとてもじゃないが生きていけないだろ」と思っている立場。その可能性が高いギャンブルが現状のオンラインカジノであって、加えて僕などは絶対負け越すに決まっていると確信すらしている。だから手を出さない。
その上で、できれば破滅する知り合いを見たくないし、そういう人からのお金の無心を断るのも嫌だから、政府が本気だってんなら、厳正な取り締まりはしてもらったほうがいいなぁと感じている。
っていうか、こんな不況の国でオンライン経由のギャンブルなんかしてる場合じゃないでしょうよ。