「そろそろ世間体とかやめません?」変態紳士・髙嶋政宏が熱弁する“ありのまま”のレリゴー・マインド | キャリコネニュース
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「そろそろ世間体とかやめません?」変態紳士・髙嶋政宏が熱弁する“ありのまま”のレリゴー・マインド

写真:石井隼人

「そろそろ世間体とかやめません? 人生は思いのほか短く一度きり。他人は他人、あなたはあなた。好きなように、ありのままに生きましょうよ!」。まるで『アナ雪』エルサかのように、レリゴー・マインドを呼びかけるのは、名バイプレイヤーの髙嶋政宏(56)だ。

髙嶋がSM愛を赤裸々に綴った自伝本『変態紳士』にインスパイアされ製作された映画『愛してる!』(白石晃士監督作/9月30日公開)では、本人役での出演に加え、企画監修者としてムチを振るった。(取材・文:石井 隼人)

「犯罪になること以外はすべて自由」

日活ロマンポルノ生誕50周年記念プロジェクト『ROMAN PORNO NOW』の名の下に製作された本作は、髙嶋曰く「自由への人間賛歌」なのだという。言いたいことも言えないポイズンな世の中に、覚醒した“変態紳士”が喝を入れる。

写真:石井隼人

髙嶋は、最近目にしたインスタのとある投稿に悲しみを抱いたという。

「それは80歳の方による『やっておけばよかったと思うリスト』なるものでした。そこには“人の目を気にしないで生きてくればよかった”“もうちょっと好きなことをやればよかった”という後悔の言葉が綴られていました」

80歳の人が自分を解放できていないのならば、SNSにがんじがらめの現代人はなおのことだ。事なかれ主義や同調圧力がはびこる中で自己主張し、声をあげるのは至難の業。好きなことを好きだと言えない窮屈な風潮に、髙嶋は声を大にして訴える。

「自分の好きなことを言ったりやったりすることで他人に貶されたとしても、それが一体何ですか? あなたはあなたでしょう? 他人はあなたではありません。自分の人生、自分の選択以外に道はありません。人のことなど関係ない。自分が好きだと思うことはやればいい。“あなたはどうなんですか?”。ただそれだけの話。目の前にあるドアくらい自分で開けましょうよ。犯罪になること以外はすべて自由!周りの人なんてあなたのことなど気にしていません。それをもう一度考えてください」

「誰も自分のことなど見ていない」という実感は、自伝本『変態紳士』発売時に痛感したことでもある。「この本を出す前からいたるところで僕はSMについて語っていました。内容的にカットされたエピソードも多かったので、むしろぬるいものを出版してしまったのではないかとさえ反省したくらいです。しかしいざ出版されると、色々な方から『どうしたの!?』と驚かれた。あのテリー伊藤さんにさえ…。その反応に僕自身がビックリです」

芸能一家で育ったお兄ちゃんの赤裸々カミングアウトは反響多々。髙嶋のインスタのDMにも変化を起こした。

「M女のOLさんから『ありのままでいいという勇気をもらいました!』というメッセージをいただいたり、ふくよかな女性から緊縛写真が送られてきたり。僕を調教したいという女王様からも連絡をいただきました」

「ロマンポルノではあるけれど、自由への人間賛歌」

写真:石井隼人

映画『愛してる!』は、SM女王を目指す地下アイドルのミサ(川瀬知佐子)の修行を追いかける、という筋書きのフェイク・ドキュメンタリーだ。

髙嶋はSM描写への思い入れをこう語る。

「どんな映画になるのだろうかと思って脚本を読んだら、自著『変態紳士』の精神が反映されたまったく違うストーリーが展開されていて大感激。そこから僕も乗り気になって、行きつけのSMクラブTitty Twisterに製作陣を連れて行って、本当のSMの世界というものを見ていただきました。映画化の話をいただいたときは『まさかこんな日が来るとは…』と舞い上がって喜びましたが、SM関係者も間違いなく作品を観るわけですから、これは恥ずかしくないような作品にしなければという責任も感じました」

中でも、舞台となるSMクラブの描写にはかなりこだわった。

「脚本の初稿には、店に入ったら鞭を打たれてヒイヒイうめいている人がいる描写がありましたが、それはあくまで一般の人が考えるSMクラブのイメージ。実際には、鞭打たれている人の横にハンドメイドの赤ちゃん服を着たおじさんがいたり、四つん這いで犬のエサの皿をペチャペチャ舐めている女性もいたりする。店内では至る所で同時多発的に変態プレイが行われている。しかも、それはすべてお客さん同士。店員はプレイが行き過ぎないように止める係としている。ギャー!とかウワー!とかの阿鼻叫喚は皆無であり、淡々とした世界。そんなリアルをこの映画にぶつけました」

物語のクライマックスでは、本人役で出演した髙嶋がとんでもない行動に出る。それは衝撃的ではあるのだが、まさにレリゴーを体現した胸アツな瞬間。尋常ならざるカタルシスがある。

「友人でフリーアナウンサーの笠井信輔さんが先んじて本作を観てくれて『ありのままに自分をさらけ出す解放感!見応えある最高傑作!』と絶賛してくれました。僕自身も大傑作だと感じています。ロマンポルノではあるけれど、自由への人間賛歌。フェイク・ドキュメンタリーとしても完璧かつ緻密。白石晃士監督の演出も抜群です」と胸を張る。

髙嶋が伝えるメッセージは、この上なく明瞭だ。

「今回のテーマに何かピン!と来るものがあったとしたら、劇場へ足をお運びください。大丈夫です、あなただけではありません。怖がることはないんです。必ず、あなたの同志は周りにたくさんいますから」

(C)2022 日活

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