先日、5ちゃんねるに「ホラーパチンコってクソ台1つもなくね？」というスレッドが立っていた。ホラー系のパチンコ・パチスロと言えやはり藤商事というメーカーが定期的にリリースする、『リング』シリーズが強い。スレ主も、良台の例として真っ先に『リング』を挙げている。

スレッドの反応も割と好意的で「確かに」という反応も見られる。ではなぜ、ホラー系の遊技機は評価が高い傾向にあるのか。これについては、ホラー系遊技機独自の大当たりまでの流れにある気がする。

めちゃくちゃ簡単に書くと、一部例外こそあれどホラー版権の遊技機って液晶の中で不幸が連鎖すればするだけ、出玉が得られるものなのだ。とにかく液晶の中の登場人物が不幸な目に遭えば大体大当たりに至るという展開は分かりやすいが、多くの版権モノにおいては主人公側が勝てば大当たりという流れとまさに逆行している。

『リング』系の台は、主人公やら実写の女子高生たちが呪われれば、つまり呪殺されたら大当たりになるという、逆転の発想が出玉チャートに盛り込まれている。『北斗の拳』ではケンシロウの勝利を祈っている打ち手も、『リング』では「殺されろ」と願いながら打つわけだ。

つまりホラー系の遊技機をよく観察すると、主人公側って悪霊とかだったりするんだよね。でも、その悪霊にあんまり感情移入させないようなメーカー側の“配慮”も垣間見える。

『リング』の場合は貞子が実質的な主役であり、打ち手も貞子を応援してしまうわけだが、そこはすんなりと応援させてはくれない。液晶の中の登場人物が呪殺されるたびに、打ち手にとっても結構深刻な精神的ダメージを与えてくるのだから。

単純な恐怖描写は耐えられても、驚かされると人は委縮し、台評価にも忖度？

パチンコ『リング』の大当たり演出は、はっきり言ってかなり怖い。昨今のホラー系遊技機の中でも特に『リング』は、打ち手の心臓に直接ショックをあたえるレベルの、文字通り心臓に悪い演出も多数盛り込んでいる。

『リング』では伝統的に、貞子の手を模した役物が搭載されている。大当たりの際にはこの手が落下するんだけども、正直初期の頃はこの落下ギミックも大して怖くなかった。何となく落下タイミングも予想できたし、落下速度も常識的なものだったので。

が、新台がリリースされるほどにこの手の落下速度が異常に早くなっており、最近では落下の衝撃で筐体が派手な衝突音を出すようになった。つまりもう恐怖演出というか、普通に打ち手を驚かすような演出を盛り込んでいるわけだ。

その手の落下。つまり当落の告知タイミングも徐々に読めなくなってきた。ハズレと見せかけて落下することもあれば、リーチ中に突然落下することもあるし、リーチ中のどこで落下するかも本当に判別が難しい。

この落下がとにかく恐ろしく、今の『リング』を打てば、ほとんどの人が驚いて座席から少し尻が浮く。これは別に誇張ではない。あまりにも落下の速度と衝撃音が凄すぎて、打ち手だけでなくその左右に座っている別の打ち手までびっくりしてしまうのだ。

これは、今の『リング』を打ったことがある人ならば「あるある」と納得することだろう。

そういう台であるので、打ち手も常にいつ大当たりの告知があるか戦々恐々。

手が落下する＝大体の人は驚く＝周囲に注目され、恥ずかしい思いをしてしまう、ということなので、みんな内心は「当たりは欲しいけど、可能ならびっくりしたくないよ～」と思いながら打つ。でも、手の落下が凄まじいので、それは無理な話。

そうなると徐々に「大当たりは欲しいけど、大当たりに至る道のりが怖すぎるので、外れたらそれはそれでホッとする」という思考にも至ってしまうのだ。こんなのはその他のジャンルの遊技機ではあり得ない感情の変遷である。

ただ当たらないだけなら、すぐにユーザーは「なんだこのクソ台」と見切ってしまう。しかしホラー系の、それも告知が衝撃的な台となると「当たらなかったけど、おかげで怖い思いをしなくて済んだぞ」となり、台への評価が甘くなりがちなのである。

もちろん、これはそう思わせるだけの怖さ、心臓へのダメージの高さがなければ成り立たないもの。中にはホラー台と言えど、全然怖くないためにさっさと飽きられてしまった台もある。スマスロの『バイオハザード：ヴェンデッタ』とかね。

でも全体的に、ホラー系の遊技機は評価が低いものは少ない。もしかすると、登場人物に不幸が起きれば出玉に直結するという独自の流れは、他人の不幸が嬉しいパチンコ依存の人にとっては清涼剤ってことで、プラスに影響しているのかも。

このコラムを読んだ方の中には「大げさな。ただ手が落下するだけじゃん」とお思いの方もいるだろう。心臓の強さに自信がある方。ぜひ一度、1パチでもいいので打ってみていただきたい。あの落下に驚かない人って、多分心臓が鉄で出来ていると断言できる。