SKE松村香織の12年前の履歴書公開したカフェ、法律的にどうなの? 「芸能人にプライバシー権ほぼない、は誤った解釈」と弁護士
SKE48を卒業した松村香織さん(29)は2月6日、かつての勤務先のメイドカフェが、自身の応募・在籍時の情報をツイッターで公開したことに、不快感をあらわにした。メイドカフェは東京・秋葉原に店舗を構える「ミアカフェ」。同店アカウントは、松村さんが採用面接のために送ったデータから、当時の好きなアニメ、応募時までのバイト歴、応募理由などをツイッターで公開したほか、
「社内ルールギリギリで問題をおこすため、全スタッフから『明確な違反は無いけど二度と一緒に仕事したくない』といわれた伝説の人」
ともつぶやいていた。
店側は「個人を特定する情報はひとつもアップしてないよ」と反論していた
松村さんは、アカウントのツイートを画像として添付した上で「当時の家の住所など色んな個人情報を未だに保有されていると思うと、気持ち悪いし怖い」と述べていた。しかしミアカフェのアカウントは今回の行動について7日、
「なんか、いろいろ騒いでるけど、芸能人の過去に勤めていたお店に芸能リポーターが突撃して、レポすることも違法? 個人を特定する情報はひとつもアップしてないよ」
「プライバシー権とか言い出す人がいたけど、芸能人については引退するまでは、プライバシー権については、ほぼ存在しない」
とツイート。松村さんやそのファン、今回の行動を問題視する人らに反論していた。
ミアカフェの行為に、果たして問題はないのか。落合洋司弁護士によると、採用関連で得た情報を第三者に無断で公表することは、個人情報保護法の違反と、民法上の不法行為(プライバシー権侵害)になる可能性があるという。
「『採用時に得た個人情報』が、直ちにプライバシー権を構成するかどうかはケースバイケースですが、仮に、プライバシーそのものではない場合でも、それに準ずる、みだりに第三者提供すべきでない情報として、無断提供が不法行為になる可能性はあるでしょう」
今回ミアカフェが呟いた情報は「特定の個人を識別できるもの」にあたる可能性があるため、「違法と判断される可能性が比較的高い」と言う。ツイッターでは、情報を公開したことへの批判に「芸能人にプライバシー権はない」と反論していたが、「法的には、誤った解釈ではないか」とみていた。
情報を保管することには罰則なし「適切ではないが違法とは言えない」
個人情報保護法の第19条では、
「個人情報取扱事業者は、利用目的の達成に必要な範囲内において、個人データを正確かつ最新の内容に保つとともに、利用する必要がなくなったときは、当該個人データを遅滞なく消去するよう努めなければならない」
と定めている。松村さんは採用時の情報が保管され続けていることに不快感を持っていたが、保管し続けることに罰則はない。そのため、落合弁護士は「適切ではない、とは言えても、直ちに違法とは言えない」と語る。ただ、
「不必要な情報を保管し続けてそれが流出等した場合に、不必要な保管を含めて、民法上の不法行為を追及できる可能性はある」
という見立てだった。
なお、ミアカフェは、同日夕方までに、松村さんに関するツイートを削除している。