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「中学受験について匿名でないと書けないこと」が物議 公立中学への不信感もあらわに

私立中学のメリット、デメリットは?

私立中学のメリット、デメリットは?

はてな匿名ブログに12月上旬、「中学受験について、匿名でないと書けないことを伝えたい」という投稿があり、中学教育をめぐる議論となった。投稿者は、中学受験のメリットが「自由な校風が主体性を伸ばす」などにあることはもちろん、教育熱心な”家庭の選別”となることを強調。他方、公立中学のデメリットを「ろくでもない大量の生徒をしっかり教育するには、管理教育にせざるを得ない」などと表現した。

これが中学受験で選別フィルタリングされた学校なら、しつけがしっかりされていることを前提に、

「自由な校風が実現出来たり、生徒の個性を伸ばしたり、いじめを取り締まったり、そういうことに先生(それも高給で優秀な話の通じる先生たちだ)のリソースを割くことが出来るようになる」

として、結果的に私立のメリットを享受できるという持論を展開した。(文:篠原みつき)

「公立中学=動物園」と表現するコメントが物議

この投稿は800以上のブックマークがつき話題となった。コメントは「珍しくもない本音をもったいぶって」と鼻白む反応をはじめ、

「まぁこんなウダウダ書かなくても公立中出身者ならあの動物園に通わなくていいってので十分良さはわかるよ」

「進学するにつれて周りの同質性が高まって、生きやすくなった」

など、賛否はありつつ概ね受け入れられている。公立中学は学力による選別がないため、一定数の「問題児」がいて、その子達が他の大勢の子どもの学びを邪魔するという主張に思い当たるフシのある人が多いようだ。

しかし、「公立中学=動物園」という声が出たことに、「差別的」だと問題視する意見も目立った。翌日には別の人物から、「『多様性が大事』と叫ぶ同僚が私立中学受験させるらしい」という投稿があり、これも注目を集めている。

普段から「日本には多様性が足りない」と主張する女性の同僚が、自分の娘を私立の女子校に入れようとしている、と厳しく批判する内容だ。 その上で、

「公立中学を動物園だと呼ぶのは結構だが、一生『多様性を大事にしよう』などと同じ口で叫ばないでほしい」

と憤りを露わにしていた。これには「動物園は蔑視というより当事者の不幸ネタ」などの反応が寄せられている。

反響は、公教育に対する不信感の現れか

その後、「匿名でないと書けないことを伝えたい」と書いた冒頭の投稿者が追記を投稿。自身の育った地域の公立中学は本当に話の通じない「動物」のような生徒がいたと苦い過去を振り返り、公立中学も問題児からそうでない子を守って欲しいといった主張を最後まで譲らなかった。地域性も大きく、

「進学に対して不利な状況にある我が街の大学進学率は20%代と全国平均の5割超に比べて大幅に低い」

とも追記している。確かに「教育の平等性」を否定はできないが、「学びたい子が邪魔されるのをなんとかして」という当事者の主張も一理あり、説得力があった。

筆者の子どもは埼玉県の公立中学に通っているが、動物園と言われるほど荒れている雰囲気はなく、本人も楽しそうに通っている。昔と比較して最近の子どもは大人しい、ということもあるだろう。ただ、表向き大人しいだけかもしれないし、学校に馴染めない子は不登校になっている。「問題があるから取り除く」のではなく、個人の特質に合った教育に適切に割り振ることが出来ればいいが、公立中学にはそこまでの力がない。

公立中学しかない地域や、経済的に余裕がない家庭では、中学受験という選択肢はほとんどない。多くの人が公立中学で教育を受ける中、「私立中学=品行方正」「公立中学=動物園」というイメージに対する反響は、いまの公教育に対する不信感が大きいことの表れかもしれない。

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