その一言を、女性は小学生くらいの頃に聞いたという。家の仏壇に「水子の位牌」があり、その意味をたずねたときのことだ。母親は
「何となく女のような気がしたから」
と、言った。女性には長男にあたる兄がおり、母親にとって兄はいわゆる「デキ婚」であったらしい。
「その次の子は堕ろして私は3番目だったようで、そこで筆頭のセリフを言われた。ちなみに私の後にも3人ほど堕ろしているので、母の何となく……が無ければ私はこの世に居ない」
つまり女性の母親は何度も期せずして妊娠し、「なんとなく女のような…」という曖昧な理由で2番目の子を中絶していたのだ。
母親の本心や苦しみは想像するしかないが、50代になる女性はいまだにこの件にダメージを受けているようで
「当時はまだ子どもだったので『産まれて良かったー』と思ったが、大人になるにつれて、そんな勘だけで人の命を何て思ってるんだ!と衝撃的というか、人として終わってるなと思った」
と綴っていた。