「家賃収入でタワマン暮らし」男性がはまった落とし穴
住んでいるマンションを徐々にランクアップさせていって、いつかはタワマン住人に。そんな希望を持っている人は少なくないはず。
だが、そうやって念願のタワマン住民になった都内の在住の40代男性は、思わぬトラップに苦しんでいる。
「今しかチャンスはない……と思ったんですが、勢いでタワマンを買ったのは失敗だったかも知れません」
男性の誤算とはなんだったのか。(取材・文:昼間たかし)
家賃収入でローンを楽に支払うはずが
これまで男性が妻と二人の子供と暮らしていたのは、湾岸の中層マンションだった。
「3LDKで築年数は20年ほど。購入したのは10年前です。特に不満はなかったですが、いつかはタワマンという夢をずっと持っていました」
男性は国家資格を持つ専門職。独立開業してから15年ほどになるが「いつかは、人が羨むほど成功したい」という漠然とした夢を抱いていたという。その夢の象徴が、タワマンというわけだ。実際話を聞いた際には、現在住んでいるタワマン暮らしの利点(自慢話?)がしばらく続いたが、それは割愛する。
タワマン購入の夢をついに叶えたのは、昨年のことだった。
「ご存じのように東京の湾岸タワマンは超高級物件です。子供の教育費のことを考えれば住居にそこまでお金はかけられない……」
それでも欲求を抑えきれなかった男性は、ときおり物件をチェックしていた。そんな中で出会ったのが、いま住んでいるタワマンだ。
「なぜだかピンときてしまった」という男性だが、当時住んでいたマンションもローンはまだまだ残っていた状況。審査が通ったとしても、二つの住宅ローン支払いは大変だ。そこで考えたのが「現在住んでいるマンションを賃貸して支払い分を確保する」というプランだった。
こうした皮算用もあって、「勢い」で購入を決めたという男性。しかし、現実は予定どおりにはいかなかったそうだ。
賃貸収入どころか、空き部屋に。
「マンションがずっと空き部屋のままなんです」
聞けば、貸し出したマンションの賃料は19〜20万円ほど。ところが、男性は22万円に設定した。
「不動産屋からも高すぎるとは指摘されました。しかし人口も増えているし、いけると思ったんです」
だが、入居者はなく、空き部屋のまま数カ月が経った。
「ならばと、冷蔵庫やテレビを購入して設置して“家具付き”にしてみたんですけど、ダメです……」
なんとしても家賃は下げたくないようだ。それなら「いっそ、売却すれば?」と聞いてみたが、これも男性は「ノー」という。
「まだマンション価格は値上がりが続いてます。それに、旧居のマンションも含めた地域の再開発計画があるんです。となると、将来、ここがタワマンになれば等価交換で立派な部屋が貰える……ハズなんです」
なんとも夢は壮大だ。聞いている側としては「行き当たりばったり」にしか思えないのだが……。