よくあるご近所トラブルの1つは「隣近所がうるさい」といった騒音問題だろう。埼玉県に住む30代前半の女性(事務・管理/年収1300万円)は、逆の立場だった。ペット可の2階建て賃貸の1階に住んでいたときに、上階の年配男性から過剰な騒音クレームをつけられ、「ノイローゼ一歩手前」まで追い込まれたという。
「最初は引っ越し直後、たまたま荷物をひっくり返してしまったとき、ピンポーン!と鳴りました。『すごい音がした。うるさいので静かにして』という内容で『すみません』と素直に謝りその場は終了しましたが、その翌日はお風呂の戸を締めただけで『何か引きずるような音がする!』次はコップを落としただけで『今の騒音はなんだ!』」
女性は「こちらが人を招いての家飲みや夜中に音楽をかけていたのなら分かりますが、明らかに上の人が異常でした。上ならまだしも、下の階の音をそこまで気にするってどういうこと?」と首を傾げる。(文:福岡ちはや)
「台風でシャッターに飛んできた石の音」にまで文句を言われ…
ちなみに女性宅では子犬を飼っており、「うるさくしたら悪いからといって、ペットOKでもあえて1階を選びました」と最初から騒音には気を付けていた。ほかの住人もペットを飼っており、挨拶は和やかに済んでいたものの、「上の方だけは出てきてくれず挨拶を諦めました」と振り返る。
そんな中、いきなり怒鳴り込まれてしまったのだ。納得できないところはあったが、「うるさいと言われたうちが悪い」という前提で騒音対策を進めた。その内容は、防音シートにマットを敷き詰め、戸当り防止のスポンジのついたテープを貼り、さらには足音軽減効果のあるスリッパを履いて過ごすという徹底ぶりだった。
しかし、そこまでしても上階の住人は「瞬間的な物音」でクレームをつけに飛んできたため、ビクビクしながら過ごしていたという。
「台風の日なんて、我が家のシャッターに飛んできた石がカンカンと当たったときさえ文句を言いにきました。さすがにそれは理不尽と思い、呆れて二度目は無視したところ、外でドゴン!とすごい音が。なんとそのおじさん、うちのドアを蹴飛ばしました」
風で飛んできた石の音など、どうすることもできない。女性はたまらず、前々から騒音対策について相談してきた管理会社に泣きついた。すると管理会社は実際に生活音を聞きに行ってくれ、
「至って正常です。明らかにうるさいということはないので、これは管理会社の意見として上の人に連絡します。あなたは直接関わらないようにしてください」
と指示をくれたという。幸い、その日から上階の住人は来なくなり、やがて引っ越していったそうだ。「ノイローゼ一歩手前だったので本当に助かりました」と語る女性だが、気がかりなことが1つあった。
「たまたま(クレーマーの)奥さまと鉢合わせになったことがありますが、腰の曲がった気弱そうな女性でした。家でもこんなふうに怒鳴られているのかと思うと不憫で……」
女性はこの事件をきっかけに、賃貸に住むときはクレーマー住人がいないかの確認と防音マットの設置を欠かさなくなったという。
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