「4℃」は、シルバーを基調としたアクセサリーがメインで、ハート型など可愛らしいデザインが特徴だ。派生ブランドで「4℃BRIDAL」もあるが、「4℃」は1~2万円台の価格帯が主力商品となっている。恋愛コンサルタントの鈴木リュウ氏は、
「4℃は女子大生が好むブランドです。毎年4℃論争が起こるのは、女性にプレゼントを普段から送っていない男性が、女性は年齢や立場ごとに好きなものが変わることを知らないケースが多いからです」
特に20代後半以降の女性は「4℃は年齢的にふさわしくない、可愛すぎる」と思っている人が多い。しかし男性は、比較的手頃な価格で”女の子が好きそうな可愛いもの”という観点でプレゼントを選んでしまっていることから齟齬が生まれ、悲劇が起きている。
「男性向けに説明するなら、一般的に中学3年生の男の子がクリスマスプレゼントでプラレールをもらっても嬉しくはないですよね? それと同じと言えばわかりやすいでしょうか」
ちなみに、4℃をプレゼントに選ぶ男性の傾向を聞くと、「恋愛経験が少ない男性、あるいは女性友達がいない男性が多い」とのことだ。
「言い換えればチャラくなく、浮気をしない真面目な人。真面目な人は浮気こそしませんが、一緒にいて楽しくない、ズレたサプライズやプレゼントを送ってくる、ということもあり、もどかしい状況になりがちです」
SNSで報告し合うのは「小学生の『サンタさんから何をもらった?』と同じ」
なぜプレゼントに4℃を選んでしまう男性が多いのか。路面店の中では高級志向すぎず入りやすいお店というのもあるが、ネットで「クリスマスプレゼント アクセサリー」と検索すると、”女性向けプレゼントのおすすめ商品まとめ”といった記事がヒットする。その中に大体「4℃」が入っているのだ。
中にはティファニーなどの高級ブランドも紹介されているが、価格的に中々手を出しづらい。そうなると「これに出てくるブランドなら間違いないだろう」とお手頃価格の4℃を買う男性も多そうだ。
しかし、そうした記事の多くはアフィリエイト記事。掲載されているのは本当に女性が欲しい商品とは限らない。あくまでも業者がユーザーに買って欲しい、もしくは「こういう商品なら買うだろう」というものが多い。
鈴木氏は「いまやGoogleは業者によるSEO対策がされすぎて、顧客(この場合アラサー女性)の本質的インサイトを把握できていないズレた辞書になっています」と話す。
「なぜ毎年4℃論争が起こるのかというと、クリスマス自体が国民的イベントで、その日に何があったかを報告しあうコンテンツだからです。特に若い世代は同時多発的に異性とデートしているからでしょう」
そのため「うちはこうだったけど、おたくは?」と気になり、SNSで貰ったプレゼントを紹介してしまうのだという。鈴木氏は「小学生の時にクリスマス翌日に『サンタさんから何をもらった?』って友だちと報告し合ったでしょう。あれの大人版です」と話す。
大人の女性に4℃をプレゼントすることを揶揄するのは、ここ数年で広まった風潮だ。女性自身が同ブランドを好きなら贈られるのは喜ばしいことだが、ある程度自分の好きなものは自分で買える年代になると「趣味じゃないものを貰ってもな……」と思うのも当然だ。
男性に限らず、安易に「おすすめ プレゼント」で検索して”すぐヒットしたから”を理由に購入するのはリスクが高い。その人の人柄や趣味を理解した上で贈るほうがお互いのためになるだろう。