「祖母はある地方の名門士族の家の生まれだったからか自分中心の人で、庶民の生まれの母とは相性が悪過ぎて小さい頃から嫁姑の争いがあった。父は自身の母親である祖母の味方だったし、面倒事は母にすべて押し付けていた」
と女性は振り返る。そんな中、女性が10歳の時に阪神大震災が発生した。
「我が家は全壊に近い半壊の判定を受け、罹災証明書を母が役所に取りに行った。すると女性が一人だけで取りに来ていたのは母だけで、あとは男性か夫婦同伴できていたことに母は大きなショックを受けたそうだ。自分の夫の情けなさ、あまりに惨めな自分に涙が出てきたと言っていた」
女性の母親も災害による恐怖と不安の中、ひとりでの対応は心細かっただろう。
「土地の境界問題で親戚と裁判沙汰になった時も、父は母にすべてを任せっきりにして何もしなかった。母からは、『お父さんみたいな人と結婚するくらいなら生涯独身でいなさい。ただしいつかは家を出て自活しなさい。死ぬときは1人で死ぬものだよ』とよく言われていた」
結婚を考えた相手もいたが……「一人になることが生きる上で必要」
うまくいっていない夫婦関係を見て育ち、母からも独身を勧められた女性。それでも結婚を考えたことがなかった訳ではないという。
「もうすぐ40代になろうとしている。最近付き合った彼氏が素敵な人で結婚を考えていたが、お互い精神的な病気を抱えており、コロナ禍で仕事の面で私が精神的に追い詰められてしまい、彼から別れを告げられた」
結婚まで考えた相手とはうまくいかなったが、「短い期間だったがとても濃く幸せな時間だった。その思い出で私は残りの人生を生きていけると感じた」と思いを語る女性。
「私は五感も、人の空気感や醸し出すオーラにもとても敏感な体質で、他人と一緒にいるだけで疲れてしまう。だから一人になる時間と場所が絶対に必要。その彼となら結婚しても良いと思っているが、彼以外の人との結婚はとても考えられない」
女性は「収入も自立するには程遠いので、結婚よりも自立したい。世の中には『一人になることが生きる上で必要』な人もいることを知ってほしい」と綴っている。