番組では、3人の「子ども部屋おじさん」が登場。超難関国立大学を卒業し、生命保険会社に勤める35歳の男性の年収は1000万円という。実家には毎月10万円を入れ、20万円は趣味や交際費などに、残りは貯金や投資に回しているという。一人で暮らせるお金は十分ありそうなものだが、実家を出ない理由については
「衣食住は実家だと非常に楽。楽だし、お金も貯まる」
とのこと。趣味は食べ歩きで、最近は「一人前5000円のとんかつを食べた」と語る。
年収600~700万円で、「さわやかイケメン」として顔出しした人材派遣会社・営業職の27歳男性は、釣りが趣味らしく一本15万円の釣り竿などを披露。給料のうち20万円を趣味などに、残りはすべて貯金しているという。両親とは仲良しで、実家は「一番休める場所、居心地のいい場所ですね」と語った。
17年前に会社を辞め、実家でゲーム制作をしている42歳の男性は、子どもの頃から集めたおびただしい数のファミコンゲーム、ガンプラ、アニメグッズなどに囲まれて幸せそうな表情を見せる。
3人とも家事は親任せだが、両親と仲が良いからか「出ていけ」とは言われないそうだ。多少は結婚願望がある様子だったが、むしろ親の方が出ていってほしくないのかもしれない。
「ただ実家に住んでいるというだけ」という主張
ツイッターでは「子ども部屋おじさんって金なくて親のスネかじって暮らしてる人達のこと言うんじゃないの」と疑問を呈したツイートが広く拡散されている。高収入で子ども部屋おじさん、という事例に驚嘆したのだろう。前述のように、自身の趣味であふれた”子ども部屋”の画像をアップする人も多い。
他にも「ただ実家に住んでいるというだけ」「ちゃんと働いているのに何が悪いのか」と苦言を呈するツイートも相次いだ。「親の見守りにも便利」と介護をほのめかす人もいる。
ちゃんと働いて、親とも仲良く暮しているのなら、誰にも文句を言われる筋合いはない。しかし、「子ども部屋おじさん」という言葉は、”親元を離れてこそ一人前”という価値観をベースに発せられる揶揄、つまり嫌味だ。番組を見なくても、トレンド入りしたこの言葉だけで不快感を表している人が多いのは仕方ないことだろう。
番組で元アエラ編集長の浜田敬子氏が「20年くらい前にパラサイト・シングルという言葉ができた」とコメントしていたように、「子ども部屋おじさん」は少し前まで「経済的に余裕がないために実家にとどまる人」を指していた。
しかし、最近では「経済的な余裕があっても、家事の手間や家賃の節約を考えた上で合理的な選択をしている」という人も一定数いるようだ。さらには「未婚の6割は親元に住んでいる」というデータもあるとのこと。「子ども部屋おじさん/おばさんは」は、もう少数派ではないのかもしれない。