福井の豪雪、東京出身者が見た光景 出勤に2~3時間、物流ストップで陳列棚もスカスカに
雪が降る地域では、至るところで雪対策が施されています。道路には水を放出し続けて雪を溶かす「消雪パイプ」が埋め込まれていたり、道端には凍結を防ぐ塩化カルシウムの袋が積んであったり、除雪車なども待機しています。
そんな雪国の人からすると、東京で雪が降った時に流れる”雪道の歩き方”みたいなニュースは滑稽なようです。しかし、そんな雪国の人でも、豪雪に対しては鼻で笑えません。これだけ積もると、消雪パイプでは追いつきません。朝に雪かきしても終わることにはうっすら積もっていますし、夕方には元通りです。
雪かきをしても朝は路面凍結で転ぶ人もいるし、車は大渋滞。そもそも豪雪になると、車が動かせません。車社会の地域なので死活問題です。出社できないし買い物にもいくことができない。
豪雪により、県からは不要不急の外出、リモートワークのお願いなどの要請がありました。学校も休校です。2018年の時は豪雪が1週間続きましたが、今回僕の住む地域は連休の3日間が過ぎるとある程度落ち着きました(小さい道の雪はまだヤバいですが)。
でも、雪が落ち着いて車を出すことができても、タイヤが雪にハマり前にも後ろにも出ることができなくなる「スタック」になります。
除雪が進んでも、一車線が潰れていたりするため平日の朝は大渋滞
雪国での運転に慣れていても、今回の豪雪ではトラックや無理に外に出た車が何台もスタックし、立ち往生しました。横転している車や、スリップで雪に突っ込んでいる車を何台もみかけました。
その状態が続くと物流はストップです。スーパーやコンビニからは生鮮食品や野菜、パン、冷凍食品が品薄状態になり、陳列棚はスカスカになりました。また、雪が続く予報が出ると外に出なくても大丈夫なように買いだめをする。そのためカップ麺なども品薄に。
除雪が進み、車がある程度通ることができたとしても、一車線が潰れていたりするため平日の朝は大渋滞がおきます。いつも車で20分の距離でも、2~3時間かかるため通常より早く家を出なければいけません。妻は「映画を一本観れるよ」と言っていたくらいです。
そんな豪雪ですが僕は妻の実家にマスオさん状態で住んでいるので、家族で協力して雪かきや買い物に出かけることはできます。しかし核家族が増えてきている昨今、協力する人手がないことも。そうなれば豪雪の日々は命に関わる危険性もあるわけです。
コロナ禍もそうだし、各地で起きる自然災害もそうですが、人間の力ではどうすることもできないことが多々起きます。雪国の人ですら雪に困るくらいですから。無理して出社しようとしてスタックしたり、無理に外に出て転倒したりすることもあるわけです。
人間には「私は大丈夫」という正常性バイアスという心理が備わっていて、これによって無理をしたり、災害などに鈍感になったり、といったことが起きます。しかし「私は大丈夫」が広まれば広まるほど被害も増えるということになりかねない。そんなことを東京出身者の僕が改めて感じた今回の豪雪でした。
【筆者プロフィール】ちばつかさ
合同会社komichi代表。柔道整復師、こころと体のコーディネーター、元プロ野球独立リーグ選手。東京と福井で投げ銭制の接骨院を運営しのべ10万人近くの心と体に向き合ってきた。野球経験とコーチングの経験を活かし都内で”野球を教えない野球レッスン”を運営。レッスン卒業生がU12侍ジャパンの代表に選出された。現在、心理学を学ぶため、アラフォーで大学在学中。【公式サイト】