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肩書がものを言う『Clubhouse』の世界 ぼっち、ネット弁慶にはつらいサービスか

どこまで流行る?

どこまで流行る?

音声SNSアプリ『Clubhouse(クラブハウス)』が2021年1月下旬より日本でも話題になりはじめている。起業家をはじめとするビジネスパーソンから浸透し、タレントの小島瑠璃子さんやメンタリストDaiGoさんのような著名人たちも参加するようになり、一気に注目度が高まっている。

文字や画像、動画は使えず、音声のみにコミュニケーションが限定されるという大きな特徴があるClubhouseだが、TwitterのようなオープンなSNSとは根本的に異なるサービスといえるだろう。ここでは筆者が数日間触れてみてのレポートをお届けする。(文・ふじいりょう)

会話の記録が禁止、ぶっちゃけ話には向いている?

米サンフランシスコのベンチャーAlpha Explorationが20年4月にリリースした同サービス。現在はiOS版のみで、Androidなどでは展開されていないが、既に200万人以上のユーザーが利用していると見られている。利用するためには、まずアプリをダウンロードする必要があるが、それだけでは使えない。基本的に既に利用しているユーザーからの招待を待たなければならず、さらに電話番号が必須。また、招待枠は初期で2枠に限られている。「ぼっち」や「ネット弁慶」にはツラい仕様と言えるだろう。

氏名やアカウント名、アイコンを登録してiPhone、iPadとの連携を承認、好きなトピックなどを設定すると、Twitterのプロフィールに近い画面が表示される。ここで「Room」と呼ばれる部屋を作り、自分がラジオのパーソナリティーになった感覚で「おしゃべり」が公開できる。配信中のRoomを探して聴くこともでき、Roomのモデレーター(主催者)に承認されると「スピーカー」として会話に参加することも可能となっている。このRoomでの会話は生配信で、アーカイブは残らない。

Clubhouseのポリシーでは、Facebookなどのように実名使用が義務付けられている(芸名など別名追加は可能)。さらに、スピーカーの書面による同意なく、会話を記録することの禁止が明記されている。音声の書き起こしや録音、共有ができないというオフレコが基本のクローズドな空間ということで、既存のSNSと比較して「サロン」的と言える。ぶっちゃけ話や秘密の会話がしやすくなっているが、脅迫行為やハラスメント、わいせつな会話などは禁じられているので注意が必要だ。

内輪感のあふれる空間をどう楽しむべきか

日本においてのClubhouseは、IT関連の起業家やベンチャーキャピタル、広告・広報・メディア関係者、社会活動家などが特に目立っている。穿った見方をするならば、「肩書き」がモノを言うコミュニティになっている。Roomでは起業家同士などのトークセッションや、メディアによる公開インタビューや対談が行われており、それを視聴する「一般人」という構図が出来上がりつつある。

一方で、「フォロワー1000人目標」と掲げてビジネス領域や趣味などが近い人たちが集まって、音声をミュートしたままで「繋がる」ことを目的としたRoomが乱立する事態にもなっている。ただ、Clubhouseのガイドラインでは1月に「フォローフォロールーム」を禁止しているので、Roomのみならずアカウントも削除の対象になり、実際に「BANされた」という報告を耳にしている。

ただ、もともと「モデレーター」の権限が強く、おそらく仲良しの「スピーカー」がいて、その会話を聞いている「リスナー」も、モデレーターやスピーカーのフォロワーと、誰からもフォローされていない人の線引きがされる、という仕様になっている。自分が有名でないとRoomを主催したところでリスナーが集まらず、かと言って有名人と知り合いでなければ発言する機会がやってこない。となると、いくら無名のフォロワーを増やしたところであまり意味はないだろう。既存の序列や階級を強化することを助長させるサービスと言っても過言ではないように感じられる。

新型コロナウイルス感染症の影響で、気軽に人と会話することができなくなった中では、誰かと「おしゃべり」ができるClubhouseは魅力的に映るし、普段は雲の上の存在と思われた有名人と「同じ部屋に入っている」という満足感も得られることもあるだろう。ビジネスに役立つ知見が得られるかもしれたい。とはいえ、Twitterなどのように「知らない人と出会える」といったセレンディピティには欠いている。サービスの仕組み上、どのRoomにも良くも悪くもある種の内輪感があるので、そこを踏まえて楽しさを探すというのが良さそうだ。

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