MCの加藤浩二さんは、「言ってみれば、今はタンス預金・預貯金など使っていないお金を高齢者はいっぱい持っているから、それが投資などに回ればいいだろうという思惑がまずある」と補足した。宮崎氏は頷き、
「だっておかしいでしょう。そもそも年金っていうのは厚生労働省の担当ですよね。なんで金融庁が?という風に、私は第一報を聞いて思ったんですよ」
「調べてみると、要するに投資を促したい。強い言い方をすれば2000万円不足するから投資をやらなきゃいけないという風に(仕向けている)、そういう性質のものであるということですね」
と解説した。
宮崎氏は総務省のグラフデータを用いて、2017年の「高齢者世帯の貯蓄残高」は、「平均値が2386万円(中央値1560万円)」と説明した。老後の蓄えとして十分あるように見える平均値2386万円の内訳は、有価証券、生命保険、通貨などがあり、うち「定期性預貯金」の額が最も大きい。そのため、
「預貯金の幅が大きいんで、それをなんとかリスクマネー化してほしい、そういう話ですよね」
と話した。
「現役のうちに賃金・可分所得を上げるべきなのに、本末転倒」
しかし宮崎氏は、高齢者世帯の貧富の差が大きくなっているため、「平均値で判断するのは不適切。中央値である層の厚い部分の貯蓄現在高、1560万円で判断するのが妥当」だと指摘する。
加藤さんも、お金持ちが沢山いれば平均値は上がるが、実際は2000万円も持っていない、困っている人はたくさんいると力説。金融庁の思惑はあるにせよ、「実際問題、社会には貧乏な方結構多いわけですよ」と懸念を示した。
これに対して宮崎氏は、
「もちろん、だから現役のうちに賃金を上げるなど、可分所得を上げて、”余りの部分を投資に回す”よう促すべきなのに、本末転倒ですよね」
とコメント。さらに、「老後資金をリスクの大きい投資に向かわせるべきではない」と考えを語った。「何故なら、老後資金は一度元本割れして大きく凹んでしまうと、リカバーするのが大変難しいから」だという。
「老後に2000万円」は、預貯金を投資に回して欲しいという思惑があったが、大事な老後資金をリスクマネー化するという意味でも不適切、という宮崎氏の指摘だ。報告書について、麻生財務大臣は11日、受け取らない考えを表明したが、宮崎氏はこの対応を「ますます信頼を損なっていくんじゃないですか」と批判している。