ゴミ袋1枚220円!? 長崎県佐世保市の有料ゴミ袋が「高い」理由を調べてみた | キャリコネニュース
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ゴミ袋1枚220円!? 長崎県佐世保市の有料ゴミ袋が「高い」理由を調べてみた

ゴミ袋

なんでそんなに高い!?

長崎県佐世保市の市指定ゴミ袋の料金がSNSで話題を呼んでいた。45リットルのゴミ袋が1枚220円もするらしい。

ただ、市のサイトを見てみると、市民なら「年間900リットル分」の補助券がもらえて、券を使えばごみ袋は「袋そのものの値段」(45リットル1枚あたり10円)に値引きされるそうだ。

なるほど? これだと安心していいのか? かるく計算してみた。(文:昼間たかし)

単身世帯には「7.5リットル」のミニ袋を活用するよう呼びかけ

可燃ゴミを週2回(年間104回)、不燃ゴミを月1回(年間12回)出すとなると、ゴミ袋が116枚必要だ。補助券の範囲内で、7.5リットルのミニ袋なら、年間120枚買える。ゴミの量をその範囲内で抑えられれば、計算上は補助券のある範囲でまかなえる形だ。

佐世保市では、単身世帯は「7.5リットル」のミニ袋を活用するよう呼びかけている。それでは、ゴミをその範囲内で収められるのか。

全国平均だと、1日に1人あたりが出すゴミの量は約900グラム。7.5リットルに収めるためには、それなりに工夫が必要だろう。

佐世保市では「紙は資源になることが多い」「生ゴミは水分を切れば減量可能」「食品トレーは店舗へ返却」「過剰包装は断って」などと、かなり細かなゴミ減量のコツを示して呼びかけている。けっこうシビアである。

ちなみに「赤ちゃんのおむつ」と「庭木の枝や落ち葉」などは、指定袋を使わなくても持っていってもらえるそうだ。

佐世保市「市民の90%は補助券の範囲内で出せている」

佐世保市はゴミ袋の料金設定について、公式サイトで次のような点を説明し、理解を求めている。(1)平成17年に現制度を取り入れて以降、処理するゴミの量がピークの40%も減った。(2)市民の90%以上が補助券の範囲内でごみを出している。

さて、全国的にはどんな状況なのか?

東洋大学経済学部の山谷修作教授の調査によれば2018年10月時点で全国1741市町村のうち有料化を実施している自治体は1108市町村。実に全国で63.8%の地域では有料化が実施されているのである。

千葉県野田市でもゴミ袋は40リットル5枚入りで850円。一枚あたり170円と帯広市よりも高額だ。ただし市民は年間1世帯あたり120枚程度の無料引換券をもらうことができる。

この範囲内でゴミを出す限りは無料だが、それ以上になったら高額な袋を買わなければならないという仕組みだ。引換券でもらえるゴミ袋は、単身世帯だと20リットル、2人以上4人以下の世帯だと30リットル、5人以上世帯だと40リットルとなっている。単身だと佐世保市よりも余裕がありそうだ。

市民相手でもゴミ袋が高額なのは北海道の帯広市。40リットル5枚入りで600円で販売されている。あんまり高額なためか1枚120円でバラ売りもされているほどである。さすがに高額なためか、こちらも赤ちゃんのオムツは無料となっている。

ちなみに東京都はゴミ袋の指定はないが、どのみちゴミ処理は税金でまかなわれている。そして、環境省によると、日本全国で年間に東京ドーム115杯分のゴミが出て、その処理費は約2兆885億円(令和元年)とのことだ。

これだけ大量のゴミを削減し、処理費も減らすためのアイデアが「高価なごみ袋」。つまり「高すぎ」と感じてしまうのは、ある種、自治体の思惑どおりということなのだ。ちょっと悔しいところではあるのだが……それでゴミが減るなら、しょうがないのかもしれない。

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