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地味→大荒れ 90年代、成人式の大転換が想像以上だった

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成人式の季節だ。人生の節目として欠かせない式典だが、今年はコロナで開催が危ぶまれている地域もある。盛大に祝えないのは気の毒だが、ちょっと前までの「大荒れ成人式」よりはマシかもしれない。そういえば、いつから成人式は荒れ始めたのか。気になって調べてみると、その転換期は1990年代だったようだ。(文:昼間たかし)

北九州市でも「スーツ姿が目立つ」だと?

福岡県北九州市。ド派手な衣装の新成人が集まることで悪名高い?この地だが、1990年の西日本新聞によると、当時の成人式は「極めて地味」だったもよう。

祝典に参加した女性のほとんどは色鮮やかな振りそで姿、男性も新調したスーツ姿が目立ち、会場のあちこちで記念撮影をする明るく華やいだ光景が見られた。(『西日本新聞』1990年1月16日付朝刊)

現在は色とりどりのヤンキー風衣装をまとい、旗印まで掲げた新成人が集まり、ときおり進行妨害がニュースになるレベルの北九州市でも、男性は「新調したスーツ姿が目立つ」とのこと。逆に新鮮である。

全国で成人式で来場した新成人のマナーが問題化してきたのは90年代半ばからのようだ。この頃には、全国で成人式に来場する新成人そのものが減少。地域によっては半数程度しかこないというところもあった。そんな来場者も大半は会場に入らず、友人達と談笑。式典の最中にも騒ぐ新成人が問題化するようになる。

1996年の『読売新聞』が、福岡県豊前市で行われた「荒れた成人式」の様子を報じていた。

最初にあいさつに立った神崎礼一市長の第一声は「せっかくの式典。静かにしてください」。それでもざわめきは収まらず、途中で指笛を鳴らす者も。

来賓の後藤元秀県議も「人に迷惑がかからないように聞き、自分の立場をわきまえるのも大人の仲間入りをすること」と切り出した。続けて「二十年、三十年すると、人の心の分からないオバタリアンになってしまうのか。そんな予備軍がたくさんいるようにしか見えない。残念でしようがない」と怒りをにじませた。(『読売新聞』1996年1月16日付朝刊)

島根県松江市は1996年の成人式で、式典中に会場のドアを閉めきって話題を呼んだ。私語や出入りが目立ったことに業を煮やしたのだという。

そして北九州市では1996年の式典後、飲食店に繰り出した新成人が、女性コンパニオンや従業員を殴る蹴るなどして料金を払わず逃走。12人が逮捕され4人が指名手配される大事件となった。

ついに成人式廃止議論も

この頃は、成人式のエンタメ化、お祭り化が加速していく時期でもあったようだ。バンド演奏などアトラクションを導入したり、立食パーティーや遊園地での開催……といった趣好が凝らされていく。

その一方で全国的にマナーが悪化していく。1997年、長崎県長崎市では、アトラクションの最中に酔っ払った新成人が壇上に乱入する騒動があった。

酒に酔った新成人ら数人が突然、壇上に上がってアトラクションの手品ショーを遮り、手品師の前で騒いだり、女性助手を抱え上げたりの大騒ぎをした。壇上に上がった建設会社員の男性は「目立ちたかったし、もう十代の自由はないと思ってやった。式典は無礼講で、悪いとは思っていない」。(『朝日新聞』1997年1月16日付朝刊)

「悪いとは思っていない」とは、昨今なかなか聞くことのできない、力強すぎるお言葉である。

この年には、広島県尾道市で式の終了後も、酒を飲んでいたグループによる暴行事件が発生し、駆けつけた警察官に逮捕される騒動が起きるなど、いよいよ「成人式=ヤバい」の構図が加速していくことになる。

2000年代に入ると、成人式会場には事前に自治体の要請で警察官が待機するところも増加している。

2001年には、宮崎県延岡市で、同級生を一升瓶で殴った新成人が逮捕された。香川県高松市では最前列を泥酔した新成人が占拠し、壇上の増田昌三市長に向かってクラッカーを鳴らし、威力業務妨害の疑いで逮捕されている。

さらにとんでもなかったのは、高知県高知市。この会場では来賓の橋本大二郎高知県知事に対して数人の若者が「帰れ、帰れ」とヤジを飛ばし、橋本知事が「静かにしろ」「出ていけ」と激怒。この光景は全国に配信され、そのヤバさ……というか恥かしさを全国に知らしめることになった。あまりの黒歴史に、高知県では一時は成人式を廃止することすら議論になったようだ。

こうして歴史を見ていくと、どこまで加速するのかと心配になる成人式だが、近年は著しく沈静化した。少子化で新成人が減ったことや、無軌道な振る舞いをすればすぐに個人が特定されて炎上することに加え、このコロナ禍である。

「成人式」はまた、地域のえらいおっさんがしょーもない話をするだけの、地味な式典に逆戻りするのかもしれない。

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