新潟県に住む20代後半の男性(エンジニア、機械・電気・電子・半導体・制御/年収450万円)は、大学受験でセンター試験に失敗。「前期で受けた第一志望の地方国立大学に落ち、後期で東北の地方国立大学を受けるため前日に現地入り、親と車でホテルまで向かう途中」だったという。
「ホテルの近くまで着き、駐車場へ車を停めようとする時に車が揺れ、てっきり自分の親の貧乏揺りだと思い、やめてくれと思っていましたが止まず……しかも揺れが大きくなるばかり。このときの日時は、2011年3月11日、14時46分。大震災でした」
この瞬間、男性の頭によぎったのはこんな絶望感だった。
「大学入学を前に(滑り止めの私立は受かっていたので浪人はないです)、世界の終わりが来たのだと感じました。その時の揺れは全然収まらず、今日地球が滅ぶ日なのか?とか考えるほどでした」
男性が後で気づいたことだが、ホテルや大学周辺は幸い海から遠く、津波は回避できていた。「ラジオなどで津波情報は聞きましたが、もしも海近くだったら土地勘も無いので命は危うかったかもしれません」と命拾いした日のことを振り返る。
「結局その日はホテルも入れずコンビニ駐車場へ、わずかに売れ残っていたカップラーメンとお菓子を買い車中泊し、念のため次の日の朝大学へ行きましたがさすがに試験はやる予定はないとのことで、地元(甲信越地方)へ帰りました」
「大学には落ちたが命までは落としていない」
男性は、当時父親と車で出かけたことが不幸中の幸いだったと考えているようだ。
「もし、自分一人で電車で行っていたらと(思うと)ゾッとしました。電車もストップしていてしばらく地元にも帰れず、食料も店にあまり残ってなく泊まれる場所もなく、サバイバル生活となっていたと思います」
その後、大学の後期試験は行われず、センターの結果のみの選考になったそうだ。男性は感慨深げにこう述懐していた。
「センター試験は失敗していたので無事に落ちました。しかしながら、命までは落としていなく、自分としては幸運だったと感じています」