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大学入学共通テスト「スマホ不正」が物議 「カンニング」の歴史を振り返る

画像はイメージ

1月の大学入学共通テストで、「スマホを使ったカンニング」があった――。そんなニュースが大きな波紋を生み出した。

その手口は、家庭教師紹介サイトで知り合った大学生たちを騙し、試験問題に回答させるというものだったと報じられている。

カンニングはわりに合わない行為だ。見つかれば厳しく処罰されるし、その後もずっと負い目を感じるだろう。それにもかかわらず、カンニング行為はこれまでも繰り返されてきた。その歴史を振り返ってみたい。(文:昼間たかし)

科挙は「カンニング=死刑」だった。

「カンニングの歴史」といえば、まず言及すべきなのは「科挙」だろう。科挙は隋以降の中国歴代王朝で行われてきた官吏登用試験。制度上、受験資格に制限がなく、合格すれば本人はもとより一族の繁栄が約束されていた。

しかし、最終的に合格できるのは3000人に1人といわれ、多くの受験生が人生を棒に振った。不正が発覚すれば「死刑」なのだが、それでもカンニングが絶えなかったのは、そんな背景があるからだ。

東洋史の大家・宮崎市定の『科挙』(中公新書)によると、試験は四書五経などから出題されるのだが、カンニング用の豆本を製作する者や文字を書いたカンニング用下着を製作する者も後を絶たなかったとしている(第一段階の「郷試」は、個室に籠もって解答する仕組み)。

カンニングがあるのは、どこも一緒だ。学歴重視の風潮が強いとされる韓国でも2004年、携帯電話で解答を送信する形のカンニングが発覚した。

不正が発覚したのは、やはり共通試験である大学修学能力試験だが、このときは関与疑惑のある受験生が1600人にも上ったそうだ。主犯格は二人の高校生で「(携帯電話の費用)50万ウォン(約5万円)で人生変えよう」と仲間を募るうちに組織が拡大した、などと伝えられている(『読売新聞』2004年12月8日付朝刊)。

携帯電話の普及と共に不正が頻発

日本でも2002年、一橋大学の学期末試験で、学生26人が携帯電話のメールを利用してカンニングしていたことが発覚した。この事件は試験後、同一内容の解答が多数あったことから発覚。関与の疑われた学生たちに再試験を課したところ、大半が答案をほとんど書けず、言い逃れのできなくなった学生が不正を認めるという、お粗末な結果になった(『読売新聞』2002年12月4日付朝刊)。

しばらくニュースを探ってみたが、日本では、大学入試での大規模カンニングはみつからなかった。

ちなみに、携帯電話を悪用したカンニングが初めて発覚したのは2011年2月のこと。京都大学の二次試験のほか、同志社大学や早稲田大学の入試問題の一部が試験時間中に「Yahoo!知恵袋」に投稿された事件である。3月になり通話履歴から仙台市在住の浪人生が浮上。センター試験の結果が芳しく無かったために二次試験で逆転したいがための単独犯行であったことが明らかになった。

これ以降、大学入試では、受験生が所持している携帯電話・スマートフォンを机上の見えるところに置いて電源を切らせたり、封筒に封入させるなどの措置が取られるようになった。

それでも、様々な手段を用いて各種試験でのカンニングは後を絶たない。2018年には、兵庫県の高校で英検の試験中に、監督の教員が席を離れた隙に生徒が答えを見せ合うカンニングが発覚(『読売新聞』2018年3月1日付)。

さらに同年には、大学で教員が使用するパソコンにソフトを仕込んで試験問題を抜き取った大阪医科大学の学生が逮捕されている。

試験がある限り、カンニング行為や様々な不正は後を絶たない。テクノロジーの発達と共に、その「手口」も高度になっている。ただ、一つ確実なのは、カンニングを考えるぐらいなら、真面目に勉強しておいたほうがマシということ。大学入試で問われるのは、基本的に「うちの学生なら、知っていてほしい」という問題が中心。知らないまま入学しても、後で自分自身が苦労することになるのである。

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