毎日がノー残業デー! 育児や介護と両立できる「スマート社員」制度をりそなHDが来春導入
りそなホールディングスが、原則として残業をしない新しい正社員制度「スマート社員」を設ける。希望に応じて、育児や介護など個人の事情に応じた働き方が可能になるという。
通常の正社員と比べて賞与は7割程度となるものの、残業以外は基本給や業務内容、昇進については区別がない。この取り組みにネットでは「その働き方、いいなぁ」「ノー残業羨ましい」と称賛する声があがっている。そこで制度導入のきっかけなどについて、りそなホールディングスの広報担当者に電話取材を行った。
「バリキャリ」以外の働き方の選択肢を用意
「今回のスマート社員制度以前にも、当行には『働き方のダイバーシティ(多様性確保)』を推進する動きがありました」
広報担当者は、制度導入の背景をこう話す。りそなグループでは、顧客のほぼ半数が女性。社員の約6割が女性で、「女性に最も支持される金融サービスグループ」を目指す中で「ダイバーシティ」を経営改革の一つとして取り組んできた。
性別役割意識の是非は別として、育児や介護の負担が女性に多くかかっていることは事実。共働きの家庭も増えている。優秀な女性が長く働き続けられる環境を整えるためには、長時間労働の「バリキャリ」以外の働き方の選択肢が必要と判断したようだ。
2005年には女性従業員の声を経営に反映させる「りそなウーマンズカウンシル」を経営直轄の諮問機関として設置。ライフスタイルの変化に合わせ、社員からパートタイマーへ雇用形態を変更できる「社員・パートナー社員転換制度」などを創設した。
それから10年。より働きやすく持続的な成長を目指し、今回の「スマート社員」制度の導入に至った。スマート社員は残業ゼロ以外にも、子どもが3歳に達するまでしか認められなかった「時短勤務」が、小学校3年生(8~9歳)の3月末まで認められる。
オペレーション改革で「業務そのものの短縮」も図る
ただし、「ノー残業」や「時短」の従業員が増えることで、フルタイムの従業員の負担が増すのではという不安もある。ネットには「まず残業ありきなのが問題なんじゃ?」と、全員がスマート社員になる状況が望ましいという指摘も多い。
これについて、りそな担当者は、「業務のあり方や担い手を踏まえた適正な人員配置を行うことにより、他の社員の労働条件に影響を与えることはない」と見込んでいる。パートナー社員が「スマート社員」となるケースも想定されるため、労働時間の総量は変わらないという。「スマート社員」導入により、
「働き方の選択肢が増えることにより、仕事と家庭を両立しながら安心して就業できる環境が整い、優秀な人材を継続的に確保できるといった好循環につながるのでは」
と期待を寄せている。
また、正社員の労働時間についても、オペレーション改革の推進による業務手続きの効率化によって、業務に要する時間の短縮を図っているという。
いまのところ何人がスマート社員となるかは未定。今年10月に人事制度を改め、社員の希望を調査しながら調整していく。来年の4月から、りそな銀行、埼玉りそな銀行、近畿大阪銀行で「スマート社員」が働き始める見込みだ。
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