マツコ「タブーがなければ人間って死なずに済んじゃう」 頭部と体の結合手術に疑念
最近、大変ショッキングなニュースがあった。難病に苦しむ30歳のロシア人男性が自分の頭を体から切り離し、脳死状態になった他人の体と結合する手術を受けると発表したのだ。
男性の病気は、全身の筋力の低下と筋委縮が進行する脊髄性筋萎縮症(SMA)。この病気の患者の平均寿命は短く、男性も症状が急激に悪化していることから、今回の手術を受ける決意をしたという。
「死の定義」なければ医学はどこまでも進む
手術の手順を簡単に説明すると、こうだ。まずは「低温状態で首を切断」、つぎに「頭部とドナーの体を接着剤のようなもので結合」し、最後に「接合部分の血管、皮膚を縫合」する。
人間での結合手術は今回が世界初で、過去に成功例はない。過去にサルで実験しているが、手術から8日後に拒絶反応で死んでしまった。
このチャレンジングな手術を提唱しているのは、イタリア人のセルジオ・カナベーロ医師。医学界からは、理論上は可能でも技術が最終的に詰められていないとの見方が示され、「売名行為と疑われても仕方がない」と猛反発を受けている。
6月29日の「5時に夢中!」(TOKYO MX)でこの話題が取り上げられると、コメンテーターのマツコ・デラックスは、臓器移植も最初は「倫理的に問題」とされてきたが、医学の発展で普及しつつあることを指摘。
これを踏まえ、「そろそろ本格的に、人間が死ぬってのはどういうのことなんだっていうのを確立すべき」と言い、「死の定義」が確立されていないと、科学や医学の研究はどこまでも進んでしまうと危惧していた。
「やっていい研究といけない研究を決めておかないと…。タブーがなくなったらもう、最後まで人間って死なずに済んじゃう」
ネットも危惧「貧困国で臓器売買どころじゃない」
確かに昔なら「死」とは、呼吸が止まり心臓の鼓動が停止するといった肉体的変化が判断基準とされていたが、医学が発展し臓器移植が行われるようになってからは、「死の判定」をめぐって議論が巻き起こるようになっている。
今回の頭部を切り離し他人の体と結合するという仰天手術も、もし成功すればまた新たな問題が生まれそうだ。もっともネットの反応は、おもに「ドン引き」だ。
「まさにブラックジャックの世界だな。現実になるのかと思うと、すごくショックだ」
「これって成功すれば凄いことになる。悪い意味で…。貧困国で臓器売買どころじゃない」
「何十年も前のSFやホラー映画みたいな話が実際になるとは!」
「売名と人体実験の為の手術じゃない事を祈る」
一方で「心臓移植やら人工臓器、もっと前の時代だと外科手術そのものが狂気だったと思うので、頭を移植するってのも別に変だとは思わん」といった意見も。一度しかない人生なので「提供者と本人の同意が取れてるなら俺は良いと思う」という人もいた。
カナベーロ医師は、手術費用1500万ドル、およそ18億円を集めていて、2年以内に手術を行いたいとしている。(文:みゆくらけん)
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