夢の「ベーシックインカム」制度、オランダで実験導入 ホリエモンも「最高の仮説」と期待
最低限の生活に必要なカネを国や自治体が無条件で支給する「ベーシックインカム」制度。嫌な仕事で無理やり働かなくて済むようになると、たびたび話題にあがるものの、いまだ導入には至っていない。
米ニュースサイトQUARTZによると、この「夢の制度」の有用性について、来年1月からオランダ第4の都市ユトレヒトで実験が行われるという。ネットには「日本でも早よ」と期待が高まっている。
独身者には12万円、カップルには18万円を支給
実験は、ユトレヒト市とユトレヒト大学が共同で実施。ベーシックインカム支給の対象となるのは働いていない約300人の市民。独身の成人には月に約1000ドル(約12万円)、カップルや家族には約1450ドル(約18万円)が支給される。
対象者の少なくとも50人は無条件で支給が行われ、仕事など他の収入源を見つけても支給が続く。また実験の効果を測定するため、現行の福祉法に則ったグループとの比較も行われるという。
ベーシックインカム制度に対する批判としては、これまで「働きたくない人が増える」「労働人口の減少が国の経済に損失を与える」といったものがあった。しかし、プロジェクトマネージャーのNienke Horst氏は、楽観的に捉えているようだ。
「私たちは今よりも多くの人々が少しでも幸せになり、何かの仕事を見つけるのではないかと考えています」
確かに収入が保証されれば生活に余裕ができ、幸福感は高まるかもしれない。仕事を選ぶうえでも好きな仕事をムリなくやればいいので、嫌々働いてストレスを高める人も減る。どうしても働きたくない人でも、生きていくことはできる。
英THE INDEPENDENTによると、同市はこの取り組みを国内のナイメヘーンやヴァーヘニンゲン、ティルブルフ、フローニンゲンなど他の自治体にも呼びかける予定だという。
世界中から「実験結果が楽しみ」という声があがる
このニュースに対し、ツイッターにはオランダ国民から期待する声が見られる。
「もうすぐこんな実験がオランダの市で行われるなんて幸せ」
「私の故郷がベーシックインカムの最前線になるって聞けて嬉しいわ」
イギリスやアメリカからも、「ベーシックインカムによって誰も次の食事やベッドのことを心配しないで済むんだ!」「実験のデータを見るのが楽しみだよ」といった声があがっており、世界的にも注目が集まっているようだ。
当然、日本のネットでも「羨ましすぎでしょ」「これは興味深いな~」「日本でも早よ」との投稿が。以前からベーシックインカム制の有用性を主張してきた堀江貴文氏も、
「最高の仮説。労働をやりたくない奴にさせるコストよりも、ただ金を与えたほうが安上がりって仮説の検証やね」
と歓迎。他にも、貧困が消滅することで犯罪の大部分も消滅するのでは、という意見があった。一方で「真面目にコツコツ働く意欲は間違いなく減る」「ギリシャ化しないだろうか?」という不安視する人もいた。
市会議員「実験結果がプラスなら規模の拡大も検討」
今回のユトレヒトの今回の取り組みは、1974年から78年にカナダのマニトバ州ドーファンで行われた実験の影響を受けているという。カナダのCBC Radioには、この点についてユトレヒト市会議員のVictor Everhardt氏がインタビューに答えている。
このときはすべての住民の最低限の収入を保証したが、政権交代により半ばで終わってしまった。Everhardt氏は今回の実験結果がプラスのものであれば、次の段階に進み、可能であればもっと大規模に行うかどうかを決断する時が来るのではないかと話している。実験結果の公表が楽しみだ。
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