「中年ニートに農業体験させよ」 国の就労支援に「負け組どもが嫉妬で働かせようとするな」と反発の声も
大学卒業時にバブル崩壊やリーマンショックなどの不景気に当たってしまったために、新卒一括採用からこぼれてしまった「氷河期世代」。彼らが年齢を重ねて30代後半から40代の「中年ニート」になっていることが社会問題視されている。
これを受けて、厚労省がニートや引きこもりなどへの経済困窮者に対し、就労支援を強化すると日本経済新聞が報じている。65歳未満の働いていない人を対象に、農家で1週間から3か月程度農作業を体験してもらう事業を来年度から開始するという。
ニートに重労働はムリ「半日草抜きさせたら7割くらい逃げ出す」
同省の生活困窮者自立支援室は、日経新聞に対し「(農作業で自然と触れ合うことは)心身の健康に良いことが別の事業などから判明している」とコメント。農家は高齢化が著しく進んでおり、貴重な労働力として期待されそうだが、ネット民の反応は芳しくない。
「そんな高齢で始められるほど甘くないだろ」
「農家とか本業の人でも辞めたがってる人多いのに」
体験後の見通しもないので「その後、国が土地くれるんか?」「土地と機材と運転資金ないから結局ニートに戻るだけだろ」と白ける反応も見られる。
また、体験だけでも重労働になるので就業体験には不向きだとして「半日草抜きさせたら7割くらい逃げ出すと思うわ。二度と働こうなんて思わなくなるぞ」と揶揄する声も。「それなら工場のラインの方ができるんじゃないかな?」と代替案を示す人もいた。
とはいえ高度成長期に労働力を吸収していた製造ラインは、グローバル化で海外に出てしまい国内には残っていない。「近所の町工場はこの20年で町ごと全部潰れてしまった」「平日シャッター閉まったままの工場群はなかなかの圧巻だよ」として、やはり農業しかないと嘆息する声もあった。
ポルポト政権下の「徴農制度」を連想し拒否反応
働かない人を農業に従事させる政策は、以前から構想があった可能性がある。自民党の稲田朋美議員(現・自由民主党政務調査会長)は、第一次安倍内閣が成立する直前の2006年8月に開催されたシンポジウムで、
「若者に農業に就かせる『徴農』を実施すれば、ニート問題は解決する。そういった思い切った施策を盛り込むべきだ」
とコメントしたと報じられていた。識者からも同様の提言は散見されていたが、毛沢東時代の「下放」やポルポト政権下のカンボジアなど独裁国家での「徴農制度」を連想するとして、批判的な意見も根強い。
肉体労働よりも「むしろ伝統工芸とか職人気質なのはどうだろう」「可能性感じるのはむしろそっち方向なんだけどな」と賛同する声もあるが、「でも大人数送り込めないから」ということで実現性が低そうだ。なかなかいいアイデアはない。
「やっすい労働力が欲しいだけだろ」と冷ややかな見方も
氷河期世代の就労支援については、すでに今年度から掃除やベッドメークなど「高度な専門知識を必要としない仕事」を短期間提供する事業が始まっている。しかし国の景気や大企業の雇用計画など、個人ではどうしようもない流れに振り回された世代の苦悩は深い。
この世代で非正規雇用が急増したことを踏まえ、今回の農業体験も「なんか矛盾しすぎだよなー。非正規化進めて自立させたいとか、やっすい労働力が欲しいだけだろ」と冷ややかに見る人もいる。果ては国の政策は余計なお世話とばかり「は? ニートは勝ち組ぞ。負け組どもが嫉妬で働かせようとするなよ」と開き直る声もあった。
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