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「同一労働同一賃金」はどう実現する? 非正規労働者の賃金を上げるのか、それとも正社員を下げるのか

安倍晋三首相は1月22日の施政方針演説で、「同一労働同一賃金」の実現に言及した。これを受けて厚労省は29日に「正社員転換・待遇改善実現プラン」を公開し、不本意非正規労働者の削減などとともに、この方針を盛り込んでいる。

厚労省のプランには「雇用形態が異なっていても同じ職務・職責において適正な待遇を確保する」とうたわれ、「均等・均衡待遇や差別禁止」の指導、周知・啓発を図るとされているが、具体的な達成ビジョンが示されていない。1月31日放送のNHK「日曜討論」でも、各党の幹部からこの方針への疑問が相次ぐ場面が見られた。

民主党は「均等待遇」、自民党は「均衡待遇」にこだわり

正社員と全然違う…

正社員と全然違う…

もともと「同一労働同一賃金」を提案していた民主党の細野豪志政調会長は、安倍政権がこれを取り上げたことについて「正直驚きを持って受け止めました」とコメントした。

しかし施政方針演説の中で、正社員と非正規社員を同じ賃金水準にする「均等待遇」ではなく、責任の重さなどによってバランスが変わることを認める「均衡待遇」という表現を用いたことに対し、「中身は甚だ心許ないというのが率直な印象」と苦言を呈した。

これに対し自民党の小野寺五典政調会長代理は、仕事の内容と役割がすべて同じであるならば正規も非正規も待遇は同じにすべきだが、それは難しいとの考えを示した。

「当然、会社の中では、常勤でやっている方の責任の重さもありますし、役職もあります。ですから、そこはそのバランスを取って、しっかり不均衡にならないように方針を決めていくというのが我が党の方針になります」

確かに、同一労働同一賃金の厳格な適用は、専門家の中にも難しいという指摘は多い。ある時点では「同一労働」を行っているように見えても、正社員は異動や転勤を受け入れる義務や責任などがあるのだから、給与が高くても当然というわけだ。

たとえば、作家の橘玲氏は「親会社から出向してきた社員」と「子会社の社員(プロパー)」の賃金を同じにすると「人事制度が根底から崩壊してしまう」という切り口から、同一労働同一賃金の実現に否定的な姿勢を見せている。

社民党「低い方に合わせることは絶対にあってはならない」

共産党の小池晃政策委員長は、「均衡処遇」でよしとする小野寺氏の説明に対し「バランスさえ取ればいいと考えている」と批判。「具体的に何をやるのか。これが問われている」として、本当に実現を考えているのであれば労働基準法に原則を書き込むなど、直ちに作業に着手するように求めた。

社民党の吉川元政審会長は、同一賃金を実現するために、現状の格差を修正する方向性について疑問と危惧を示している。

「『同一労働同一賃金』と言った場合に、非常に私が危惧するのが、低い方に合わせるという風になってしまうということは絶対にあってはならない(ということ)。低い方を高い方に合わせなきゃいけないと私自身は思っています」

現状では正社員の方が高いのだから、正社員を下げるか、非正規を上げなければ差は縮まらない。現実的にはその両方から歩み寄ることになると考えられるが、小野寺政調会長代理は、企業の内部留保に比べて賃金の上昇が少ないため、労働者の賃金を上げるように呼びかけていると述べるにとどまった。

「これからどうやって実現するかということに関してはこれから一億総活躍の中で、いろんな議論をしていきますし、それ(プラン)が4月に出てきます。そしてそれを受けて国会で本格的な議論になりますから、そのときに評価をしていただきたい」

すでに「同一労働同一賃金推進法」が施行されているが

同一労働同一賃金については、昨年9月にすでに「同一労働同一賃金推進法」が施行されている。この法案は民主党・維新の党・生活の党が共同提出の議員立法として提出されたが、可決前に修正が加えられて骨抜きになったとの批判がある。

与党の要求に応じて、「職務に応じた待遇の均等の実現」を「均等および均衡の実現」に修正したからだ。結局は「日曜討論」と同じ議論を繰り返していることになるが、いずれにしても正規・非正規の「理不尽な格差」は是正される方向に動く可能性は高く、正社員の中には厳しい現実を突きつけられる人が出てくるのかもしれない。

あわせてよみたい:え、労組が「大幅な賃上げ要求」を見送るの?

 

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