「ダイバーシティの推進が新たなイノベーションを生む」 アクセンチュアがアドバイザリー・ボード設立、小室淑恵氏らが参画
3月11日、ANAインターコンチネンタルホテル東京(港区赤坂)で、総合コンサルティング会社のアクセンチュアが「ダイバーシティ推進のための社外有識者によるアドバイザリー・ボード設立発表記者会見」を行った。
社外有識者は日産自動車の取締役副会長の志賀俊之氏、ワーク・ライフバランス社代表の小室淑恵氏、NPO法人グッド・エイジング・エールズ代表の松中権氏ら5人。それぞれがダイバーシティ推進に取り組んでいる。
「さらなる工夫が必要」との観点からアドバイザリー・ボード設立へ
アクセンチュアではこれまで、多様な考え方を組み合わせることでイノベーションが発生し、社員のパフォーマンスが向上するだけでなく、クライアントにも幅広い解決策を提供出来るという考えのもと、ダイバーシティを推進してきた。
女性活用は2006年から本格的に取り組み、10年間で女性社員数は3倍に、女性管理職数は4倍に増加。ほかにも、LGBTの社員や障害を持つ社員が活躍できるように制度を整えてきた。
これまでは自社でやってきたものの、さらなる工夫が必要だとの観点から、社外有識者の視点を取り入れるアドバイザリー・ボードの設立にいたったという。
会見では、各アドバイザーが現状の課題や今後の抱負についてコメントした。小室氏は、団塊世代が2017年には全員70歳を迎えるため、その子どもたちである団塊ジュニア世代が介護や育児などで労働時間が限られるようになってくると説明。これに対応できるか否かで人材獲得競争の勝敗が決まるという。
アクセンチュアの従業員は「非常に長時間労働になっている」と指摘し、
「(長時間労働を是正し)採り放題側の企業になってほしい。是非若者たちに、これからの時代は長時間労働は古い、短い時間で成果を出すのが新しいという考え方を引っ張っていってほしい」
と今後の同社のあるべき姿を提示した。
アクセンチュア役員・堀江氏「今回の活動は壮大な臨床実験」
また、自身もゲイをカミングアウトし、「LGBTと、いろんな人が、いっしょに楽しめる未来へ」をコンセプトに活動している松中氏は、LGBTの人たちが目に見えにくいため、社会制度上の差別が起こっていると指摘。カミングアウトはマストではないものの、ロールモデルとなるような存在がアクセンチュアから現れることを期待しているという。また、LGBTの人の活用が企業や社会にどのような影響を与えるのかをデータで出し、戦略的に説明していきたいと語った。
他のアドバイザーからも社内だけの活動ではなく、社外にも取り組みを発信するべきとの声があがった。これに、アクセンチュア執行役員の堀江章子氏は、今回の活動は社をあげた「壮大な臨床実験」のようなものとし、「それが日本のマーケットにおいていいものであればどんどん発信していきたい」と答えていた。
記者会見の後は活動の第1弾として同日に行われた同社の社内イベント「アクセンチュア International Women’s Day」に登壇した。議長の志賀氏は、日本の経済会がまだまだ男社会であり、女性のリーダーが少ないと指摘。集まった女性社員に、
「ここに集まった方の中から次代の日本を背負う女性のリーダーがたくさん生まれることを祈っています」
と呼びかけ、「そういうお手伝いが少しでも出来ればなとの気持ちで引き受けさせていただきました」と抱負を語っていた。
あわせてよみたい:企業が求める人材像に変化? 女性やLGBT人材に注目集まる