65歳を超えて会社で働く「一億総活躍プラン」 島田雅彦は「年金ないから死ぬまで働けって話に聞こえる」と苦笑
健康器具メーカー・タニタの海外部で働く岩本さん(62歳)は、定年後65歳までの継続雇用を会社に認められている。定年前は海外の現地法人の社長を務めており、給料が減ることを了承して勤めている。
愛媛銀行で支店長のとして働いていた藤本さん(61歳)は定年後、キャリアをリセット。希望すれば嘱託社員として何歳でも働ける「生涯雇用制度」を利用し、10歳年下の上司についてATMを扱う仕事を一から学んでいた。
自動車大手のホンダでは、定年を65歳まで延長する方針を固めている。現在の再雇用制度だと給与は半減するが、8割程度に改善するとのこと。ただ、会社全体の人件費は変えない方針で、増える分は出張日当の廃止、残業代の引き下げで対応するとしている。
中には定年後に収入がアップしたという強者もいた。首都圏で展開する西武信用金庫は、継続雇用に加えて一部社員の定年を撤廃。能力があれば何歳まででも働けて、1年ごとに正社員と同じ待遇で契約する。
鷲宮支店の新井昌成さんは60歳を過ぎて支店長に昇格し、59歳のときより200万円以上アップする見込みだという。同信用金庫の落合寛司理事長は、こう語る。
「年齢の定年ではなく、能力で定年が決まる。うちは成果主義に変えたんです」
ホワイトカラーの男性が「新しい能力」身につけられるか
番組コメンテーターで政府有識者会議のメンバーでもある白河桃子さんは、VTRを見て「問題は、『能力があって』というところ」と指摘する。現在は高給の「働かないオジサン」も混在して若者に不満を持たれているが、今後は厳しさを増すと示唆する。
「ポイントとしては、45歳がキーワードなんですね。アンケートを取ると、サラリーマンの方は45歳から勉強しなくなるんです。そこから勉強して新しい能力を身につけていくと、能力も上がり幸福な定年延長が迎えられるんじゃないかと思います」
生え抜きで何十年も働いてきた人は、確かに蓄積もあるだろう。しかし彼らの定年を延長することで、若い世代の昇給カーブを鈍化させることがあっては、少子化対策に逆行することにもなりかねない不安はある。
番組では、すかいらーくグループのガストで正社員として店を切り盛りする63歳のベテラン女性店長や、モスバーガーで67歳や82歳の女性が元気に働く姿を紹介した。確かにサービス業の中には、中高年の女性が働く余地はありそうだ。
その一方で、ホワイトカラーの男性が「新しい能力」を身につけて、雇われて居場所をみつけるのは、白河さんが言うほど簡単なものだろうか。番組ゲストで作家の島田雅彦さんが、「年金の資金が足りないから死ぬまで働けって話に聞こえますけど」と苦笑していたのが印象的だった。
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