ストレス対策に瞑想!心の不調が4割低減したというデータも NHKで紹介された「マインドフルネス」が興味深い
古くから世界中の宗教で実践されてきた瞑想。マインドフルネスはそこから宗教性を排除したものだ。
開発したのは、アメリカ、マサチューセッツ大学医学部。瞑想の医学的効果を、宗教性を排除した上で、純粋に検証していく過程で誕生したストレス対策で、既に世界中の企業、学校、果ては刑務所でも実践され、高い効果を得ているのだという。
その手順は、ざっくり書くとこうだ。
■まず背筋を伸ばし、両肩を結ぶ線がまっすぐになるように座り、目を閉じる。
■呼吸をコントロールせず、あるがまま、自然に呼吸をする。呼吸に伴ってお腹が上下する感覚に注意を向ける
■余計なことは考えない。沸いてくる感情は雑念として処理する。雑念が出てきたら呼吸に意識を戻し、今この瞬間の状態を注視する。
■自分が呼吸する様子を、幅広く捉えるよう意識を変えてみる。体全体で呼吸をするように、吸った息が手足の先まで流れこみ、吐く息が体全体から外に流れ出ていくようにイメージしてみる。
■体の外にまで、注意のフォーカスを広げていく。体の周りの空間、その隅々にまで気を配り、空気の動き、温度、広さを感じる。
■なにか雑念が出てきても、今度はそのまま放置し、その辺りに漂わせるようにイメージし、雑念が消えていくのを見届ける。
正直、「こんなんで大丈夫かなぁ?」と思ってしまうんだけど、これでなかなか効果はあるようだ。うつ病などで治療中の人は担当医と相談の上でやってみて欲しい。一日10分ぐらいから始めるのがいいという。詳細な実践方法は、この番組の特設サイトにも掲載されているので、そちらも目を通してもらいたい。
今この瞬間に注意を向けることでストレスから距離を置く
このストレス対策を構築したサキ・サントレリ教授曰く、マインドフルネスは8週間のプログラムを組んで行われる。プログラムが終了する頃には、体の不調の35%、心の不調は40%ほど低減されたというデータが出ていると話す。
では何故マインドフルネスはストレスを低減する効果があるのか。理由は脳の機能にある。
人は、過去のストレスの元となった嫌な体験を思い起こしたり、将来また同じような出来事に遭遇することを想像したりするだけで、脳内でストレスを感じ、コルチゾールという物質を生み出してしまう。
現在ストレスを感じる理由がなくても、このコルチゾールが分泌されることで、心身に異常をきたしてしまう。それを防ぐのが、今に注意を向けた、マインドフルネスなのである。
今の自分の呼吸の様子や、自分を取り巻く空気などに注意を向けることで、余計な雑念を捨て、記憶や想像によるストレスの増幅を止めてストレスを感じない状態を作りだせるというのだ。
実際にやってみた……これは最初は訓練が必要なのかも
で、こういうものを書いた以上は、自分も実践してみないと意味がない。ということで、ちょっとマインドフルネスにチャレンジしてみた。
ただ、残念なことに挑戦開始1秒で「あ、ちょっと無理だ」と思ってしまった。瞑想をするには、環境もかなり大事。自宅でやってみたんだけど、隣の部屋との仕切りとなる壁が薄いわ、外では車が往来しているわで、てんで集中できなかった。
そこで今度は深夜帯に再挑戦してみたんだけど、なかなかどうして、上手くいかない。呼吸を感じるというのはなんとなく実践できたんだけど、どうしても雑念に気を引っ張られてしまい、どうにもならなかった。
中にはいきなりマインドフルネスで気持ちを落ち着かせることに成功する人もいるだろうけど、そういう人ってそもそもストレス対処が上手い人のようにも思える。雑念だらけで日々ストレスを感じている、精神が渋滞している人にとっては、繰り返しの挑戦が肝要なのかも知れない……。
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