「野生の狼」か「飼い犬」か――ホリエモンの新刊「99%の会社はいらない」は「自分の時間を生きる」ことを勧める本だ
誰だって好きなことをしていれば楽しいし、時間はあっという間に過ぎる。堀江氏は自分がやりたいことしかやらないので、「自分の時間を生きている」という自負がある。そして本書を通じて、いまのネット社会ならば「誰にでもできる」と可能な手法をいくつも挙げている。読後は素直に「行動しなくては!」と思わせてくれる説得力があった。
しかし自分の時間を生きることは、そのために「不要なもの」をとことん削ぎ落とすことでもある。堀江氏はこれを「最適化」と呼ぶ。AIを駆使してムダを排除するのはもちろん、家も車も持たずホテル住まいだ。
時計なんてスマホでいいし、パソコンも1台あれば十分。両親は健在だが、家族とは暮らしていない。以前テレビでは言っていたが、離婚した元妻や子どもの存在に触れることすらない。経済的なつながりはあるのだろうが、完全な一匹狼だ。
好きなことで活躍したいと思えば、周囲の批判を恐れず突き進む覚悟や努力が必要だ。家族と暮らす幸せを生きている筆者としては、やはりどこか「マネできないなぁ」という気分は沸いてくるが、堀江氏はこの生き方を他人に強いているわけではない。
エサはもらえるが自由がない「飼い犬」でいいのか
わかりやすい例えとして、自由はあるが毎日エサ獲りしなくてはならない「野生の狼」と、エサはもらえるが自由がない「飼い犬」ではどちらがいいか、とも問う。当然堀江氏は「野生の狼」である。
どちらが正しいわけではないが、行動せずに「これしかない」と決めつけるのはダメだと堀江氏は諭す。独立して稼ごうと決意する人だけでなく、会社だけに頼らず副業しようとか、この会社しかないと転職を諦めている人が「自分の時間を生きよう」と動き出すきっかけになるかもしれない。
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