「ニートが”より良いニート”になったら新しいことが起きる」 若新雄純氏が語るNEET株式会社の可能性
メンバー全員がニートの「NEET株式会社」や、週休4日の「ゆるい就職」などを仕掛け、注目を集める若新雄純さん。茶髪で長髪、スーツ姿は見たことがなく、社会活動をしている人としてはすごく個性的な風貌をしている。社会的に信用されないリスクを冒して自分の好きなかっこうをしているのだから、考えてみるとすごい人だと思う。
そんな若新さんが、1月9日放送の「未来塾―若新雄純のゆるい教室」(NHKEテレ)に出演し、「少数派」に対する独特の視点を語っていた。課題を抱えた東北の若者たちにニート株式会社のメンバーを紹介。就職せず学校にも行かないニートたちから何を学ばせようというのか。(文:okei)
一般的なニート支援の考え方は「ニートじゃなくしてあげよう」だが
東京・足立区のアパートの一室で、ニート株式会社のメンバー数人が活動している。3年前に発足したこの会社、若新さんが会長で、メンバー全員が固定給のない取締役。「やりたいことをやりたいときに、やりたいだけやる」というゆるい環境のため、事業内容は決まっていない。
若新さんは、ニート支援に対する考え方についてこう語る。
「ニート支援や対策は、国もやっているし活動している人もいっぱいいる。でもそれは、『ニートをニートじゃなくしてあげよう』みたいな考えが多い。でも、ずっとニートでいたい人もいるんじゃないか。ニートが『より良いニート』になっていったら新しいことが起きるんじゃないか」
ニートじゃないほうがいいに決まっている、という考え方をひっくり返す指摘にはっとさせられた。もちろん、「ニートじゃなくしてあげよう」という考え方は間違っていない。
ただ、私たちは「真面目に働けば幸せになれると信じられた時代」とは違う世の中を生きている。必死に働いた結果が過労自殺、ということも起きているのだ。「こうじゃなきゃいけない」「普通はこうだ」という価値観を少しだけ疑い、違う角度からものを見ようとする姿勢は大切だ。
24時間塾・レンタルニートなど、新しい価値観を生み出すニートたち
では、より良いニートとはなんだろう。それは、社会とゆるくつながりながら新しい価値観を生み出そうとするニートのメンバーから感じることができた。
「24時間営業の学習塾」を開いているビジネスネーム「豆もあい」さんは、芝浦工大情報科卒で7年社会人経験がある。新人のときから残業が100時間だったというから、社会に出たとたん社会に潰された一人なのかもしれない。
彼の塾は小学生から高校生が対象で、「いつ来てもいい、居たいだけ居られる」のがウリだ。勉強だけでなく、「家にも学校にも居場所がない子の受け皿になれたら面白い」という考えが根底にある。
遊び相手として自分を貸し出す「レンタルニート」や「プラモデル制作代行」をしている仲陽介さんは、「経験のないニートでも起業するのは自由、もっと気楽に生きようという価値観を広めたい」と語った。彼らからは、普通とは違うことをやってやるという気概が感じられた。
若新さんは、「少数派や、はみ出した人たちの中に、次の世の中につながるヒントが眠っている可能性はある」と考えを語る。
「彼らがそういう新しいタイプの存在として色々発信して、考えて活動して、社会の多数派、普通と言われる人達がそれを見て、立ち止まったり勇気をもらったりして、変化していく」
「すごい長い目でみると、革新的なことっていうか、イノベーション的なものはこういうところから生まれるんじゃないかなと。これが『ゆるいチカラ』のポイントだよね」
若新さんの活動は、斬新なだけに理解されにくい面がある。しかし、特別おかしな考え方ではないのだと納得した。革新的なことは、「普通」や「既成概念」とは違うところから生まれ、未来につながっていく。若新さんは、その呼び水になろうとしているのだろう。
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