こんなデザインで大丈夫か!? とある会社の「WEBデザイナー募集」広告が切実すぎると話題
話題となっているのは、3Dプリントサービスなどを提供している「X人の株式会社」(東京・浜松町)がウォンテッドリーに出した求人広告。(※社名「X」部分には社員数が入る。現在は「4人の株式会社」)
まず目に飛び込んでくるのが、町内会のおじいちゃんがマイクロソフトWordで作ったような「急募!WEBデザイナー募集!」の画像。花柄の背景、取ってつけたようなイラストなど色々味わい深い。キャッチコピーも、
「3Dプリントで業界にイ
ノベーションを!」
と改行されていて、非常にムズムズする。しかし、
「この採用ページの画像は、優秀なデザイナーを呼ぶために弊社全員のデザインセンスを結集して作り上げた、最も力の入ったものとなっています」
と説明。4人のメンバーの写真もすべて「いらすとや」のフリー素材を使ったもので、全員の自己紹介の最後に、
「デザインのセンスがない」
と入っている。その他、ピンボケのPR写真や2000年代初頭の営業資料のような説明図、求められるスキル「PCの電源を入れられる方(必須)」など、あらゆる意味で「大丈夫か、この会社」と不安が煽られるページとなっている。
作成者は「Officeの入ったPCを持つ、デザイナーではない友人」
この求人ページはトゥギャッターで取り上げられ、はてなブックマークでも反響を呼んでいる。「こりゃ本当にデザイナーが必要」「wordで素人が作るとこんな感じになる」という状況を察する声や、「改行部分をなおしたすぎる」と自分がどうにかしなくてはと感じている声が上がった。
一方で、
「これはツッコミ待ちなのでは」
「一個一個のネタが丁寧で誠に悔しい」
という声も。絶妙なバランスで「これはだめだよね」が具現化されていると評価する声が多く上がっている。会社の内情を心配に思う人は不安にかられ、ネタだと思う人は感心する。この求人広告を出した「4人の株式会社」に話を聞いてみた。
――まずお聞きしたいのですが、わざとですか? 本気ですか?
「わざとです。WEBデザイナーはいますが、忙しくなってきたので人員補充をしようと。『デザインセンスがない会社』と打ち出せば『どうにかしてやろう』と思ってくれる人が入るかなと思って、真剣に作りました」
――御社の関係者がはてなブックマークで「社内で誰もOfficeを持ってなかったので、トップ画像は友達に作ってもらいました」とコメントしていますが?
「社員全員MacユーザーでOfficeが入っていなかったんです。なので、デザイン素人の友達にお願いしました。『町内会のチラシみたいにして』って頼んだら、ビジネスモデル図の制作と合わせて1週間くらいで作ってくれました」
――現在15人がエントリーしています(2月23日16時現在)。採用状況は?
「採用枠1人なのに、まさかこんなに反響があるとは……。逆になんで応募したのか聞きたいので、これから面接で聞いてみます」
――ちなみに、どのような方に来てほしいですか?
「小さい会社なので、同じものを見ている人に来てほしいです。このページを見れば会社の雰囲気は分かると思うし、『面白い』と感じる価値観の人がいいなと。あとは、3Dプリントという新しい市場で勝負する会社なので、WEBデザインのスキルがあるだけでなく、自分から企画・提案を楽しんで出来る人に来てほしいです」
取材の結果、この「WEBデザイナー募集」は非常に戦略性の高い採用活動だということが分かった。どのような人が採用され、どのように働いていくのだろう。今後「5人の株式会社」が巻き起こす、3Dプリントのイノベーションに期待したい。