飲食サービス業界でベトナム人のニーズ高まる 調理をほとんどベトナム人スタッフに任せるチェーンも
サービス業や流通業で人手不足が深刻化し、企業は外国人の採用に積極的になっている。そうした中、在日ベトナム人向け求人サイトを運営するasegoniaは、採用代行サービスのツナグ・ソリューションズと業務提携したことを4月6日に発表した。両者は、日本企業がベトナム人労働者を円滑に受け入れられるよう支援していく。
「ベトナム人は器用だし、日本を尊敬している」
asegoniaは、日本のベトナム人向け求人を掲載する「Link-Line」というベトナム語サイトを運営している。約1万6000人の在日ベトナム人が登録しており、求人を掲載した企業には1か月で平均80人から応募が来るという。これまでにビックカメラやセブン銀行といった企業も求人を掲載してきた。同社のCEO井上義設氏によると、「ベトナム人は日本人との親和性が高い」という。
「近年、日本で働くベトナム人は増え続けています。ベトナムは親日国であり、日本をリスペクトしている人が多い。宗教観や生活観も近く、ベトナム人は日本に馴染みやすいのです」
厚生労働省の統計によると日本で働くベトナム人労働者は、2012年は約2万7000人だったが、その後増加の一途をたどり2016年10月末時点で17万2018人にもなった。人手不足に悩む企業もベトナム人人材に着目している。
「ベトナム人は器用で向上心もありますし、日本をリスペクトしている人も多いので、雇用を検討している企業は多いです。全国展開をしているある飲食チェーンは調理のほとんど全てをベトナム人に任せています」
しかし、ベトナム人を受け入れるに際して、「英語が通じない」といった問題がある。
「英語が通じないため、言葉の壁があります。また日本では従業員に求められるサービスの質が高いため、それに応えるのは簡単ではありません。雇用する企業としても、教育が難しいことがあります」
そのため、同社では、英語や日本語に堪能でなくても仕事ができるようなマニュアルの作成などを行ってきた。他にも、それぞれの企業に合わせた支援策を提供している。今回、ツナグ・ソリューションズと提携したことで、より多くの企業がベトナム人を受け入れられるよう支援していくという。
ただし、井上氏は「単に人手不足だから来てもらうのでは不十分だ」と語る。
「単に人手不足だからベトナム人に来てもらうというのは企業の都合に過ぎません。ベトナムへの進出を見据えた方がより意欲の高い人を集めることができます。あるラーメンチェーンでも国内でベトナム人を100人ほど雇い、2年後にはベトナムに進出しました。また小売り大手もベトナムへの進出を決めています。こうした戦略が必要です」