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空港スタッフの人手不足に航空連合が対応 「空港で働くことの魅力を知ってほしい」

訪日外国人の増加で空港利用者は増加しているものの、空港で働く人の離職率は高く、人手不足が顕著になっている。こうした中、航空連合は、空港で働くことの魅力をアピールするための取り組みを始めた。

同団体は、航空会社で働く人たちを中心に結成された、航空関連産業の産業別労働組合。4月11日に、羽田空港に隣接した羽田エクセルホテル東急で記者発表会を開催した。

裏方のスタッフは「お客様と接する機会も少なく、やりがいを感じづらい」

航空連合の松岡宏治会長

航空連合の松岡宏治会長

近年、空港利用者は増加傾向にある。国際線の旅行者数は、年々増加しており、2015年には7904万人に達した。訪日外国人も2011年以降、前年比20パーセント以上の増加を続け、2016年には2400万人を突破した。2020年には東京オリンピックを控え、ますます外国人観光客が増える見込みだ。

空港利用者がうなぎ上りに増える一方、空港では働き手が不足している。採用予定人数が集まらなかったり、採用しても定着せずに辞めてしまったりすることが多い。特にグランドスタッフ、グランドハンドリング、貨物の3職種で人手不足が深刻だ。

グランドスタッフとは、チェックインや案内を担当する空港の顔。グランドハンドリングと貨物は、手荷物の搭載や機内清掃、荷物の搭載計画立案をはじめとする業務を行う。

なぜ離職者が多いのか。航空連合の松岡宏治会長は、「一見、華やかに見えるグランドスタッフも実際にはかなり大変な仕事」と語る。

「グランドスタッフは、チェックインカウンターでの業務や出発ゲートでの業務が中心になります。華やかなイメージがありますが、実は動き回ることが多い仕事なんです。チェックインが遅れているお客様がいれば、走り回って探したり、お客様の荷物を持って走ったり。万歩計を付けていると、1日3万歩になることもあります」

またグランドハンドリングや貨物のスタッフは、「過酷な肉体労働だが、感謝されることが少ない」という。

「グランドハンドリングのスタッフは、飛行機に搭乗するときにお客様が通る搭乗橋を機体に付けたり、車両を用いて飛行機を駐機場から押し出したりします。屋外での作業ですから、夏は炎天下で、冬は雪が降る中で作業することになります。かなり過酷な仕事です。夏場には塩飴を舐めながら仕事をすることもあります。お客様と接する機会も少なく、なかなかやりがいを感じることができません」

こうした仕事の過酷さに耐えかね、離職してしまう人が少なくないのだ。

特設サイトもオープン「企業サイトには掲載できないインタビューも公開」

航空連合は、ANAグループの労働組合や成田日航ホテル労働組合など54組合が加盟する産業別労働組合だ。組合員は3万8125人で、ほとんどが正規労働者だが、非正規労働者も5.3%含まれている。1999年に結成されてから、労働条件の改善や政策提言に取り組んできた。

羽田エクセルホテル東急で記者発表会が開催された。

羽田エクセルホテル東急で記者発表会が開催された。

今後は、空港で働くことの魅力をアピールし、人手不足を解消するため、広報活動やイベント開催を行っていくという。手始めとして、4月11日に「空港の裏方お仕事図鑑2017」を開設。仕事紹介の動画や現役スタッフのインタビュー、漫画を公開している。

松岡会長は、「こうした活動を通して、空港で働くことの魅力を知ってもらいたい」と話す。

「各航空会社の企業イメージには頼らず、職種そのものに興味を持ってもらいたいと思っています。現場をよく知っているからこそ、『グローバル』といった華やかなイメージよりも、リアリティを重視して発信していきたい。

インタビューには、企業のホームページには掲載できないような率直な声もそのまま載せています。また漫画を作成するために、組合員にヒアリングをしてネタを収集しました。今回はグランドスタッフ、グランドハンドリング、貨物の3つの職種に焦点を当てていますが、今後はより多くの職種を紹介していきたいと思っています」

航空連合では、引き続きインタビューや漫画の更新を行うほか、ブロガー向けイベントでの広報活動などを行っていく予定だ。

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