「非人間的な残業の多さ」厚労省の過酷な労働環境 一斉消灯の試みは「長時間労働是正」に繋がるか
厚生労働省が長時間労働是正に向け、一斉消灯を行う。20時に建物内を消灯し、それ以降の業務を原則禁止するもので、初回は7月28日に実施する。読売新聞が5月28日に報じた。
「全省庁の中でも有数の過酷な労働条件を持つ職場」
厚労省は他の省庁と比べても激務と言われている。企業口コミサイト「キャリコネ」には同省に関して70件の口コミが寄せられているが、「国会待機により、深夜4時ごろまで残業することが1年の間に数回あった」「残業時間が非常に多く、1週間職場に泊まることもたびたびありました」など、そうした噂を裏付けるような声が多い。
サービス残業も横行しているようだ。残業代は毎年組まれた予算の範囲内で支払う必要があるためか、「非人間的な残業の多さの中でも残業代はフルでは付かず、月10万を超えることは滅多になかったと記憶している」という口コミすらある。
「労働行政をつかさどる職場なので、労働条件については一番しっかりしているのではと思ったのですが、入ってみたら膨大に膨れ上がる業務量と人員削減計画が真っ向からぶつかり全省庁の中でも有数の過酷な労働条件を持つ職場でした」
と、入庁前のイメージと大きなギャップを感じる人も少なくない。同省が進める働きかた改革やワークライフバランスの実現と、省内の労働環境はかけ離れていると言えるだろう。
「強制労働省」の汚名返上できるか
口コミには、長時間労働の一因に国会答弁作成があるという意見が見られる。
「翌日の国会での質問事項が国会議員から前夜遅く(もちろん営業時間外)に送付されてくるので、そこから国会答弁を作成し(総理や各大臣のアンチョコです)、上司数名に上げ、関係各省と協議し……というプロセスを1問1問につき行うため」
中央省庁は国会期間中、議員から各省庁の大臣・副大臣宛てに寄せられる質問への返答「国会答弁」の作成が主要業務になる。厚労省以外でも同じ業務は発生するが、厚労省は「持っている委員会や担当する法律が多いので、長時間労働になりがちなのでは」と、同省職員は指摘する。
厚労省は元々、2001年に旧厚生省と旧労働省が合併して生まれた。そのため、受け持つ法律は通常の省2つ分の範囲に及ぶ。しかも労働基準法や年金関連法など国民の生活に密接したものが多いため、議員からの質問も多くなりがちなのだ。
また、国会が閉会したとしても、答弁書の作成で滞っていた他の業務を遂行するべく、残業せざるを得ない職員が多いという。
一斉消灯は今後、毎年1回以上は行う予定だという。7月以降の開催日は決まっていないそうだが、「強制労働省」の汚名返上は、いつになるのだろうか。