キリンビールの「飲み会説教」シーンが物議 「覚悟が足りん。やれや」という精神論で後輩泣かす
業界1位のアサヒビールを追い落とそうと奮闘中のキリンビールだが、思わぬところで企業イメージを悪くしてしまったようだ。9月5日の「ガイアの夜明け」(テレビ東京)で同社の会議や飲み会の様子が放送され、「無意味な会議」「精神論」とネットで物議を醸している。
終業後に居酒屋で「本当の会議」が始まる
かつてキリンの「ラガー」はビールシェアの6割以上を占めていた。しかし1987年に発売された「アサヒスーパードライ」が徐々にシェアを拡大し、2001年には首位の座を追われてしまう。
特にアサヒビール発祥の地である大阪では、スーパードライを愛飲する人が多い。関西のビールシェアの44%はスーパードライが占めているほどだ。
番組では、大阪市にある近畿圏統括本部で働く営業の男性(30代)に密着。男性は、新潟の主力スーパーで売り場の権限をアサヒから奪取したり、東京の大手スーパーを担当したりした実績を買われ、アサヒの牙城である大阪に送り込まれたという。
男性は、担当するスーパーのチーフバイヤーに、今年6月にリニューアルされた「一番搾り」を売り込むものの、なかなか上手くいかない。営業の社員が集められた会議では、「(前年比)150%(の売り上げ目標に)いくために、何するの?」と追及されてしまう。
その日の夜、男性は先輩社員に連れられて居酒屋へ。これから「本当の会議が始まるります」とナレーションが入り、先輩社員は、
「覚悟が足らん」
「10年後の会社を支えるのは俺たちの世代。お前が今のまま10年後になったら、下の子がついてこないでしょ。『できない、知らない、やだ』そんなやつにリーダーやってほしくない」
「お前、どれだけやっとんねん。やれや。できるやろ」
と男性を叱責。男性は涙を流しながら、その言葉に耳を傾けていた。
「こういう無意味な会議ってキリンみたいな大企業でもやってるんやな」
「ガイアの夜明け」では、「先輩の熱い言葉に涙が止まりません」といったナレーションでこの居酒屋の場面を美化。しかしネットでは、放送を見て違和感を覚えたという声が相次いでいる。
特に多かったのは、先輩社員の説教が精神論に終始しているというツイートだ。
「やれできるだろのオンパレードの典型的な無能上司だった」
「キリンの飲み会の先輩のアドバイスが覚悟が足らんとかやれとか全く具体性がなくてひどい」
「人の気持ちとか精神論はええからメソッド提供せえよ無能」
「アルハラ」「パワハラ」と強い言葉でキリンを非難する声もあった。業務時間外の飲み会で精神論を吹っ掛けて後輩を泣かせる様子にネガティブな印象を抱いた人が多いようだ。
営業担当者が出席した会議の様子を見て、「こういう無意味な会議ってキリンみたいな大企業でもやってるんやな」と感じた人も。放送されたのはあくまでも会議の一部だが、具体的な戦略について話し合われることはなく、「前年比150%はいきたい」といったフワッとした意気込みが語られただけだった。
キリンビールは、社員が奮闘する様子を放送して、好感度を上げようと思ったのだろうか。働き方や企業風土を見直そうという機運が高まる中、パワハラまがいの飲みにケーションや中身のない会議が逆にキリンのイメージを悪くしてしまったようだ。
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