「ひきこもり女子会」で明かされる女性たちの苦悩 「1年位前から自分が空っぽ」「焦るばっかりで何していいのか分からない」
「ひきこもり女子会」は、引きこもりを経験した人たちがつくる団体「ひきこもりUX会議」が、一昨年の6月から始めた集まりです。主催者の体験談を聞き、自身の状況や悩みを打ち明ける場になっています。
参加者は10代から60代まで幅広く、主に30~40代の人が多いとのこと。会場には数十人が集まりますが、悩みを話し合うときは少人数。ルールは、「相手の話を否定しない・批判しない」こと。話を聞くだけでもよく、人慣れしていない方への細かい配慮がなされています。これまで38回開催され、延べ1400人以上が参加しました。参加者の3割ほどは主婦だといいます。
番組では、社会人1年目で社長からパワハラを受けて社会に出るのが怖くなった27歳の女性や、23年間専業主婦で子どものいない40代の女性が紹介されました。女性たちは、苦しみをこう訴えます。
「1年位前から、自分が空っぽということに気付いた」
「焦るばっかりで、動けない。 何していいのか分からない」
「自分はこの世の中で社会の役に立っているという実感がない。いなくていいんじゃないかと思ってしまう」
孤独の中で、すっかり自己肯定感が無くなってしまった人たちの叫びです。
なぜ、「女性だけ」なのか? 男性に苦手意識がある人多数
女性のみにした理由は、これまでの自助グループは9割以上が男性の参加者で、女性は行きにくかったため。主催者の林恭子さんは、
「やってみて分かったことですが、男性に対して苦手意識や男性が怖いという方がとてもたくさんいらっしゃる」
と明かします。男子にいじめられた、男性に暴力を受けた、父親に虐待されていたなど、辛い経験をしている人が多く、男性のいる場には参加しづらいでしょう。
ツイッター上には、「同じ境遇同士で戯れるとますます脱せないぞ」という声もありましたが、実際は、同じ境遇同士だからこそ共感し合い、人としての自信を取り戻していくことが多いようです。
周囲はまず、「人として肯定する」「つらさを共有する」ことが大事
精神科医の水島広子医師も、まず「人として肯定されること」が必要で、支援する人は、先走って「就職」などの目的を定めてはいけないと注意しています。
これが難しいところで、多くの支援者・家族など周囲の人たちは、「なんとかしてあげないと・させないと」と思いがちです。しかし、自己肯定感がないまま、ただ「働け」と言われても、それができない場合はますます追い詰められてしまうということです。
林さんは、「参加者の皆さんは、こうでなければならない、という気持ちが強い」といいます。
「正社員でなければならない、きちんと恋愛をする、きちんと結婚を、主婦をやる、とおっしゃる。でも、必ずしもそうじゃなく、『いろんな生き方がある』ということを伝えていかなければならないと思っています」
ある時期になれば結婚して出産して「普通はこうだ」と言われることが多い女性は、特にこうした考えから抜け出ることが難しいかもしれません。人間関係が希薄になっている今、こうした自助グループの存在はますます重みを増していくのでしょう。