松本人志、ネットカフェ難民に「ちゃんと働いてほしい」で物議 番組の取材対象が「特殊」という指摘も
2月18日放送の「ワイドナショー」(フジテレビ)で、松本人志さんがネットカフェ難民に厳しい意見を放ち物議を醸している。番組では、北海道から上京しネットカフェに泊まりながら路上ライブで生計を立てる男性を紹介。松本さんは「ちゃんと働いてほしい」と語った。
先月29日、「ネットカフェ難民」が、東京都内で1日当たり約4000人以上いることが、都の初めての調査で分かった。うち約7割が派遣労働者など不安定な働き方をしていると推定されている。(文:okei)
「みんな優しいなぁ。俺若干、イライラしてきてる」
「ワイドナショー」が取材したのは歌舞伎町のネットカフェで、店内には生活用品、洗濯機やシャワーまであるとレポート。64の個室があり、8割が1か月以上利用する長期利用者だ。長い人で5年以上滞在し、30~40代のお客が多いという。料金は24時間コースで2472円。30日以上の長期滞在コースで1日1977円になる割引もある。1か月6万円ほどで、立地的には安いといえる。
取材を受けた男性(31)は、ネットカフェを転々として1カ月。「最初は寝づらかったが慣れましたね。住めば都。楽しいですよ」と語る。1畳ほどのスペースにTVとパソコンがあり、昼間はネットやゲームをして自由時間を過ごし、夜中に路上ライブで稼ぐ。100円のときもあれば1万円以上のときもあるが、常に「繋ぎ」でその日暮らしの生活だ。
これに対して社会学者の古市憲寿氏は、40~50代のフリーターの高齢化問題を解説。番組でも「無職になって家賃が払えなくなり事実上のホームレスになった人が多く、求職の際住所がないことがネックになっている」などの悪循環を伝えた。
VTRの間中、ずっと不満げに顔をしかめていた松本さんだったが、「わからんようにちょっとずつ(部屋を)狭くしてったらどう?」と冗談交じりにコメント。出演者たちは「追い出す話じゃないですよ」と苦笑いしつつ、出たときの居場所をつくる必要を説いたが、松本さんは、
「そうか、でもなんかみんな優しいなぁ、話聞いてると。俺若干、イライラしてきてる」
「ちゃんと働いてほしいから」
と、イラ立ちを隠せない様子で話した。
古市氏に、「もしネットカフェを無くしたら、その人たちはどこに?」と意見を求められると、「路上でまずは始まるんやろうね」と、ホームレスになることを肯定。
「でも路上で始まる方が俺はチャレンジしてる感じがするけどね。路上なら頑張るんじゃないかな」
「なまじっかこれ(ネットカフェ)があるからさ。こんなもん、アリ塚みたいなもんやから。アリ塚にはアリクイが来るからね」
と持論を展開。出演者たちがまじめに支援策を話し合おうとする中で、松本さんだけ冗談交じりに厳しい本音を吐き出していた形だが、ネット上では「これはひどい」などと批判が噴出。一方で「取り上げた対象が対象なだけにそんなコメントが出るのは仕方がない」と擁護する声も出ていた。
一方でマツコ「楽しんでる人」だけを紹介したことに敏感に反応
ちなみにこの男性、5日放送の「5時に夢中!」(TOKYO MX)のネットカフェ難民特集にも登場している。しかし、同番組ではマツコ・デラックスさんが「これかなり特殊なケースよね」と取材を疑問視。コメンテーターとしての立ち位置の違いが表れていた。
「彼はとてもポジティプというか、あの状況を楽しめている人だったからよかったけど、『そうじゃない人』のほうが多いじゃない?その人たちに手を差し伸べることをしないと」
などと、番組の取材が偏っていたことを瞬時に見抜き、指摘していた。
同席する若林史江さんも、「貯金がなくなったらゲームオーバーみたない気持ちでやってらっしゃる。それとはちょっと違う人を聞きたかったですよね」と同意している。取材に応じてくれた人が彼だけだったのかもしれないが、彼のネットカフェ難民歴は1か月。多いとされる数年滞在、氷河期世代の40代が窮状を訴えていたらどうだろう。
こういう特殊な事例だけ紹介しても、松本さんのような「甘い」という感想になってしまいがちだ。マツコさんのコメントは、これでは余計に支援の動きにはならないと懸念しているようだった。