セクハラ被害者を責める風潮にイノッチ苦言 「セクハラはいじめと似ている」「いじめる方が100%悪い」
番組では、セクハラの被害者でありながら「経理部長を脅迫した」と不当に解雇された30代の女性の事案が紹介された。女性は、何度も他の社員とともにセクハラ被害を社長に訴えていたが、
「触られる方も悪いんだ。派手だから、フェロモンを出してるからいけないんだよ」
などと逆に責められたという。
井ノ原さんは「現実にあったことなんだろうかと思うくらいな…」と唖然としていたが、ゲストの青木さやかさんは「これはすごくよくあること。(セクハラを)いなすぐらいが仕事だよと言われることが多いと思う。日本で声を上げ始めたのが画期的」とコメントした。女性は、相談に乗ってくれていた女性の先輩とともに、会社を相手取りセクハラ訴訟を起こす準備をしているという。
東京都の相談窓口でセクハラ問題に関わってきた金子雅臣さんによれば、これは典型的なケースだ。東京都では年間1500件くらい相談があり、ほとんど減らないという。井ノ原さんが「エスカレートする前に(相談窓口に)相談すれば、やめてくれる?」と問うと、セクハラする人は大抵が社会的に立派な人なので、被害者が「間違いでは」と自分を責めてしまい、相当ひどいことになってから相談に来るという。
「同時に合わせて全部ダメってことにしないとダメじゃない?」
NHK解説員の柳澤秀夫さんは、「たとえば軽く肩をさわったくらいでセクハラと言われては」と加害者とされる側の心理を話したが、井ノ原さんは
「その気がなくて触るって意味わかんないですよ」
と発言。例えば胸元のマイクがおかしいので直してあげたほうがいいかなと思っても、普通は触らない。だが、やってしまって「やめてください」と言われて、かえって調子に乗ることが男性にはある。後々「最初喜んでると思ってたんだもん」という言い分が出ることになるとした上で、
「触れたいと思って触れたのか、仕方なく触ったのか(分からないので)、同時に合わせて全部ダメってことにしないとダメじゃない?」
と考えを語った。
そもそも仕事上の関係だけの男性が、励ますつもりだろうが何だろうが女性に触れること自体がおかしいという認識を持たなくてはならない。井ノ原さんの言葉は、ネットで「イノッチが正しい(中略)友だちでもないのにさわるの、おかしいよ」など、共感を呼んでいた。
あさイチは3月一杯で有働アナと井ノ原さんの降板が決まっており、番組の最後に有働アナは、議論に時間が足りなかったことに触れ、「今後もきっとあさイチで…皆さんも考えてみてください」と締めくくった。
井ノ原さんの被害者の目線に立った意見は常に視聴者の共感を呼んできただけに、降板を惜しむ声は大きい。今回も、井ノ原さんは「セクハラはいじめと似ている」との視聴者メッセージに理解を示し、「お前も悪いって言われちゃうパターンっていじめもよくある」「いじめられる方も悪いって言われたときの傷ついた気持ちって、セクハラとよく似ているような気がする」とコメント。「いじめた方が100%悪い」という以前からの主張も改めて語った。こうした問題は、また有働さんとイノッチで夜の番組で特集して欲しいとの声もあり、筆者も同感だ。