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AI活用で新入社員が辞めなくなる? 面談者が気づかない退職リスクを判定して成果が出た事例

管理職の仕事を捉え直す必要がありそうです

管理職の仕事を捉え直す必要がありそうです

ソラストでは全国5000人の新入社員を対象に、年7回のアンケート調査と面談を行っている。アンケートの自由記載欄のコメントをAIがテキスト解析することで、「面談者が見逃してしまうような文章や表現の機微を捉え、退職リスクを捕捉する」という。

人間だけでは、どうしても経験値や個人の判断力によって取りこぼしが生じるため、AIが人事の仕事を強力にサポートするというわけだ。

具体的には、面談者がとくに問題を感じなかった社員でも、AIが「退職リスクが高い」と判定した約100人を、無作為にAとBのグループに分けた。グループAの社員には、離職を防ぐための追加面談を行った上で、配置換えやシフト変更等の適切な対策を打い、グループBの社員には特別な追加措置はしていない。

その後、それぞれのグループの入社後3ヵ月間の退職者数を比較したところ、グループBの退職率は37%だったのに対し、グループAの退職率は16%に留まったという。

同社は、「この結果、KIBITは退職リスクが高い社員を抽出していることがわかり、同時に退職リスクが高い社員に適切な対策を打てば、退職を防ぐことができる可能性があることがわかりました」としている。

離職率の差は、面談や配置がえなど、丁寧な対策あっての成果だが、ピンポイントで効率よく対象者を抽出できたことは大きなメリットに違いない。

「管理するだけの管理職はAIで十分」という話も

技術の進歩は素晴らしいが、AIが「文章や表現の機微を捉える」ようになっては、もはや人事の仕事は必要なくなるのではと感じてしまう。

たとえば、堀江貴文と落合陽一の共著『10年後の仕事図鑑』(SDクリエイティブ)でも、AIの台頭で「なくなる仕事」の最初にあがったのが「管理職」である。人事はまさに人を管理するのが専門だ。落合氏は、

「管理するだけの管理職はAIで十分」

と指摘している。経営者ですら、ビジョンを語り人にモチベーションを持たせられる人間でないとAIに代替可能なのだという。

しかしそんなに気に病むこともない。今回の調査では、後でフォローするのは人間であり、実質的に動く人はまだまだ必要だ。AIは、離職リスクの察知や指示はできても、「この人と一緒に頑張りたい」と思わせることはできない。むしろAIにリスク抽出を任せることで、本来の生産的な仕事に集中できると喜ぶべきなのかもしれない。

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