大阪地震で帰宅難民が発生 「とりあえず出社」を命じる企業の危機管理意識はどうなっているのか
6月18日朝、関西の広い範囲で強い揺れが発生した。大阪府北部では震度6弱を観測し、これによって3名が死亡。300人以上の方が重軽傷を負った。
大阪府の松井知事は早急に自衛隊に災害派遣を要請し、警察、消防も各地で奮闘している。なお気象庁は、震源に近い地域では、今後1週間程度、同規模の地震が起きる可能性があるとし、引き続いての警戒を呼びかけている。
当たり前の話だが、このような大きな地震によって交通網は一時麻痺し、電車や新幹線、空の便などにも影響が生じた。(文:松本ミゾレ)
あんなに大変な思いをしたのに……東日本大震災から何も学んでいない企業
さて、震災といえば帰宅難民というワードがセットで語られやすい。東日本大震災の折には、震源からはかなり離れている首都圏の交通網ですら壊滅状態に陥った。このため、既に出社していた会社員が大量に帰宅難民化するという事態が発生したのは、記憶に新しい。
あの震災は午後に発生していたため、既に職場で働いていた人も大勢おり、いってみれば帰宅難民化を事前に防ぐ手立てはないに等しかった。しかし、今回の大阪北部地震の場合は少々事情が異なる。
震災直後から、ツイッターなどのSNSでは「こんなに家がメチャクチャになったのに、出社しろって連絡が来た」といったような投稿が相次いだのだ。僕も今日は「タクシー使ってでも出社しろと命令あり(中略)5駅分歩いて出社」といったツイートを見かけたが、「おいおいどんな重要な仕事任されてるんだ」とか思ってしまった。
みな地震発生直後からいつものように出社し、そして終業後にはいつものように会社を出ている。そして帰宅難民も少なからず発生してしまった。
そもそも、人命が失われる規模の地震が発生してしまえば、交通網が寸断されるのは当然だし、復旧に時間がかかる。復旧したとしても、押し寄せる帰宅難民を裁くのは大変だ。これって本当に企業側の采配ミスというか、罪な部分だと思う。
仕事と自分の安全、一体どっちが大事なのか
ここで一つ、企業側の立場になって、なぜ震災発生直後に出社を命じたのか。その理由について考えてみたい。恐らくその理由は、会社の労働状況の停滞による損失が怖いのだろう。ラインが止まれば損益に繋がる。それが地震より何より恐ろしいのだろう。
だからこんな状況でも社員をかき集める。危険な状況にも関わらず、ドラマの中の世界じみた責任感とやらを負わせて。でもはっきり書いておくけど、こういった企業はもし社員が出勤中に案の定余震が発生して負傷しても、本気で心配なんかしてくれない。
そして、こんな地震の日に「何とか這ってでも出社したよ」と主張する人にもちょっと言いたいんだけど、仕事と自分の安全、どっちが大事なのか。優先順位が狂っていると思う。無責任に出社を命じるような会社、そんなに大事にしてどうするのだろうか。